愛媛県久万高原で栽培されている在来種紫モチトウモロコシは生き残れるか

紫モチトウモロコシ紫モチトウモロコシは愛媛県久万高原の古来種.タネは黒紫色で,普通のトウモロコシの種より小さめ.実は若いうちは白いが,写真のように赤紫色が入る時期が食べ頃で,完熟させるとそのまま茹でて食べるには堅すぎる.餅トウモロコシは茹でて食べるともちもち感があるところから付いた名前で,甘みは強くないが独特の旨味がある.

日本在来種の糯トウモロコシは白,黄色,黒,赤など全国で7系統ほどあるそうだが,その中でも愛媛久万高原産種の食味はトップクラス.茎の背丈は1.5メートル程度で小さめ,実の長さも13センチほどで小柄.実は1株に2〜3本付けて育てる.食用トウモロコシの分類としては,タネ粒表面がつるつるしてロウ(ワックス)成分が含まれるワキシーコーンに属する.一方,スィートコーンなどは水分を多く含み完熟するとタネはペシャンコに縮んでシワが寄る.

モチキビとも言われるモチトウモロコシのもちもち感と歯ごたえは成分の澱粉構造に原因がある.スイートコーンなどのウルチトウモロコシの主成分であるアミロースは,数百個のブドウ糖が鎖状につながったもの.一方,もちトウモロコシ主成分のアミロペクチンでは数万ものブドウ糖が枝を伸ばしあった分枝構造をもつ.モチトウモロコシでは澱粉のほぼ100%がこのアミロペクチンでできているが,うるちトウモロコシではアミロペクチンを数十パーセントしか含まない.

ムラサキモチトウモロコシのムラサキ色はアントシアニン系の色素で,タネは若いときには赤く,完熟すると黒紫色に変わるため,黒モチトウモロコシとか赤モチトウモロコシとも呼ばれている.

この愛媛久万高原在来種のモチトウモロコシはスイートコーンなどに押されて栽培農家が激減しており,2006年にわずかに残っている自家用栽培農家もここ数年で栽培をやめるのではないかと危惧されている.この一因にトウモロコシは風媒花であり,近くにスイートコーン栽培農家があれば交雑して商品価値を落とすことが挙げられる.

さて近年,伝統野菜が見直されているが,この珍しい愛媛県産在来種ムラサキモチトウモロコシが生き残ることができるかどうかが注目される.

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