原発停止施策によってドイツは電力輸入国になるとの予想は正しいか? 再生エネルギー発電の増加により2011年の通年ではドイツは電力4200GWHをフランスなどに輸出超過。  現状ではドイツでは20%、日本は10%が再生エネルギーによる発電量
「原発停止施策によってドイツは電力輸入国になるとの予想は正しいか? 再生エネルギー発電の増加により2011年通年ではドイツは電力4200GWHをフランスなどに輸出超過だった。  2010年は、ドイツでは20%、日本は10%が水力、風力、太陽光などの再生エネルギーによる発電。 日本は風力と太陽光、地熱を合わせても1%以下」

 日本の原発事故を受けて一部の原発を停止した2011年4月5日、ドイツのエネルギー水道業界団体BDEWによると、原発の一時停止措置によりドイツは電力の純輸入国になり、主要電力調達先はフランスとチェコ共和国であると発表した。
 すなわちBDEWは、ハノーバーで行われた産業フェアの会合で、2011年3月に実施された発電能力7000メガワットの原子力発電所の停止措置により、3月のドイツは1日当たり50ギガワット時(50GWH)の純電力輸入国となり、フランスとチェコからの電力輸入が倍増したと述べた。

 ドイツでは日本での福島第1原発事故を受けて、17基の原発のうち、1980年以前に建設された旧型の原子力発電所7基を少なくとも3ヶ月停止したのに加え、そのほかにも2基が2007年以来停止しており、さらに現在1基が定期点検のため停止している。 一方、フランスは電力の80%を、またチェコは約25%を原子力でまかなっている。
 ただしBDEWは、今後は現行のドイツの電力供給シナリオが変わる可能性もあるとも指摘した。「中期的には、たとえば石炭やガスなどによる国内の既存設備の活用を拡大するなど、ほかの戦略が実施される可能性がある」と述べた。


-------1年後のドイツの通年電力需給は以下の通り-------
 しかし、皮肉なことに、東京電力福島第1原発事故後に脱原発を決めて2011年に国内17基の原発のうち約半数にあたる8基を停止したドイツでは、2011年通年では周辺諸国との間で電力輸入量よりも輸出量が多い電力輸出超過国になっていたことが、2012年2月にロイターの報道で分かった。これは、2011年秋にヨーロッパを襲った寒波とその季節に好天が続いたことによる。
 2011年脱原発後にドイツは一旦は上記のように電力輸入超過に陥ったが、2011年10月には輸出超過に転じた。半数の原発が稼働していることに加えて、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電量の増加と、全体のエネルギー消費量を抑える「効率化」が電力需給回復の要因だという。

 すなわち、欧州連合加盟27カ国など欧州の34カ国の送電事業者で作る欧州送電事業者ネットワーク」(ENTSO−E、本部ブリュッセル)の統計によると、2011年の厳冬の影響もあり電力不足に陥った原発大国フランスに対しても電気を輸出しているという。欧州では、冬場がエネルギー消費量が最も多いことから、ドイツ政府はまずは脱原発決定後の最初の試練を乗り切ったと安堵している。

 ドイツは2011年3月の福島第1原発事故後、17基の原発のうち旧式の7基を暫定的に停止し、その後1基を加えた8基を2011年8月に完全停止した。 震災前は周辺国との電力収支が輸出超過だったが、2011年5月には輸入超過に転落し、フランスからの輸入が前年の3割増になるなど2011年9月までは輸入超過の状態が続いた。
 しかし、2011年秋に入ってから好天が続き、太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電に有利な条件が整った。またドイツ政府が住宅の断熱化などエネルギー効率化を推進したのに加え、原油価格の高騰も手伝って、エネルギー消費量は前年比約5%減になった。このため2011年10〜12月の電力収支は輸出超過となり、2011年通年ではドイツは約4200ギガワット時の電力輸出超過になった。

 さらに付け加えると、2012年に入って2月には欧州各地で氷点下10度を下回る厳冬になり、電気暖房が全体の3割も占めるフランスで自国の原発をフル稼働しても欧州各地に配電する電力余力がさらに足りなくなった。 このため、2012年2月の17日間のうち6日間は、電力需要の多い夕方にドイツからフランスへ電力輸出しており、電力7割を原発で賄っている原発大国フランスが脱原発国ドイツに電力を依存する皮肉な状況が続いている。

 なお、ドイツでの2011年発電量に占める原発の割合は前年の22%から18%弱に低下したが、再生可能エネルギー発電の割合は約20%に上昇し、さらに褐炭、石炭、LNGガス発電などが微増しており、原発の目減り分を補っている状況である。
 一方、東北大震災前の2010年度統計では、日本では原発発電が30%であり、再生可能エネルギーによる発電量は全体の10%、太陽光や風力など水力以外の新しいエネルギーは1%程度に過ぎなかった。   
 -以上-

2012年2月20日
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