2012年夏、中国経済状況と人口オーナスの影響および、米国、ユーロなどで世界金融緩和の可能性。 韓国の政権交代などに伴う日本と東北アジアの竹島、尖閣諸島、北方領土を巡る政治的緊張の勃発について。 今からの日本は団塊ジュニア世代(1970-1980年生まれ)の時代
2010年も2012年も、日本は対米国のみ貿易黒字が圧倒的だ。これでは、日本は米国には一切頭が上がらなくなるのが当然だ。もっと黒字相手を分散すべきと思う。 また日本は、2012年の対韓国、台湾との貿易黒字は半減し、さらに対マレーシア、インドネシア、中国(含香港)、EUでは、2010年とは逆に貿易赤字に陥ってしまった。石油ガス輸入と超円高の影響だろうが、これらの国にとっては2012年の日本は上得意様だったと言うことだ(2013年7月15日追加)

 2012年秋、再び世界経済がきな臭くなってきた。 米国、欧州、日本などの中央銀行が連携し、いよいよ世界的な量的金融緩和が始まるとの予測が出回っている。
 EUでは、スペインやイタリアの国債市場が急落してユーロ危機がさらにひどくなり、ドイツなどEUが禁じ手としていた量的緩和政策と同様の「救済基金による国債買支え」が早々に行われるのではないかと報じられている。
 米国では最近経済が持ち直したようだが失業者は減っておらず、大統領選挙を控えて連銀FRBが三度目の量的緩和を検討しているとも報じられている。 日本については、今後3年間で巨額の償還が待ち構える日本国債の借り換えについて、日銀が円通貨を大量発行して買い支えるしかないと噂されている。 日銀買い支えは、ドルを支えるための円安要因にもなり、米国にとっても好都合だ。
 中国も経済成長が急低下して住宅不動産バブルも危惧されハードランディングもありうるので、中国当局による金融緩和で救うしかないという見方がある。 このように、世界の主要経済地域が一斉に金融量的緩和を始めるのでないかといううわさだ。

 世界的量的緩和の予想の背景にあるとされているのは、グローバルな経済困難のためである。EUのユーロ危機、中国のハードランディング、米国と日本の景気二番底などが同時進行して、世界的な経済難になっているためとされる。 しかし、各地域の経済状況を見ていくと、実は世界中がすべて経済的に困難に陥っているのでない。 今のところ米国の債券相場は非常に堅調だ。しかし前回の金融危機が始まった2007年夏のサブプライム危機の直前には、米国債券相場は歴史的な活況だったことを思い出すべきだ。 米国では議会の2大政党間の対立が解けないまま、2013年1月には劇的な財政緊縮策の開始と増税が始まる。これが次の世界経済危機の引き金になるかもしれない。グローバル構造的には、ユーロや中国よりも米国の経済危機のほうに注目すべきである。米国のドル崩壊は世界恐慌に直接につながるものだからだ。

 ユーロと距離をとる英国にとっては、米国の覇権がしっかりしている限りはEUとの関係は二の次で、米国優先で良かった。しかし、2008年のリーマンショック以来、米国の経済覇権はもっと大きな次の金融危機まで何とか延命している状態である。次の危機ではドルが基軸通貨の地位を失い、米国債の利回りも高騰する可能性も強い。 その場合、世界経済の大混乱とともに覇権の多極化が進んで世界経済システムの形が変わるが、それにもかかわらず世界は何とか安定していくことを切望する。 そののちは、米国はアジア太平洋と中南米には影響力を維持するが、欧州を含む他の地域との関係は今よりかなり希薄になり、米英同盟も有名無実化する。 そのような危機が今秋に来るのではないかと予測する向きもある。

 ところで日本だが、近い将来、日銀も円を大量発行して国債を買い戻すマネタイゼーションを行うかもしれない。今のところは、政府と日銀の微妙なバランスの中で何とか一万円札の刷り増しは防がれているが、米国に追従してきたのがこれまでの日本の歴史だ。米国経済とドルが崩壊に近づくと、日本も円高デフレ対策として円の大量発行をすることになるだろう。しかし 私は、これは日本にとって良い結果を生むとは考えていない。今の日本は原発事故もあって大量の石油等の化石燃料を輸入しており、さらに世界的な不作で高騰する大豆トウモロコシほかの食品も輸入している。今の為替円高は、国民にとってはむしろ天佑だ。 経団連などの経済団体が自己利益追求のために円安による輸出促進をいくら渇望しても、円安で石油や食料品が値上がりすれば、庶民の生活にとって我慢できるものではない。
 従来の財界は日本に役立っているという認識が国民の間にあった。しかし、フクシマ原発事故や中国、韓国との摩擦が生じている今では、国民の思いと財界の考え方は遊離してしまっている。 国民の税金をつぎ込んだエコポイント制度や原発のダンピング電気料金などで、財界企業をどれだけ支援しても日本の財界産業は中国や韓国に勝てず、そのうえ支援した税金資金は結局は大企業が中国や韓国に海外進出して工場を建てるために使われてしまった。もはや財界団体は、国民や政府におねだりしているだけのJA農協となんら変わりがない。財界はこの現状を情けないと思わないのか。 もしも日本は、財界や産業界のためにあると勘違いしているようなノウテンキな政党があれば、その政党は次期総選挙では痛い目にあうと予見する。

 いずれ起こる世界規模の経済危機は、ユーロでも中国でもなく実は米国のドルと債券から始まるであろう。ユーロや中国や日本などの経済危機は、世界にとっては小さな問題にすぎない。 このことについて今まで述べてきた。 今の時期に世界的な量的緩和が語られる意味は、米国のドルと債券を延命させるためにユーロ、中国および日本を巻き込んでの大規模な量的金融緩和があれば、と米金融界が考えていることのあらわれである。





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              「2010年と2012年の日本と世界各国との貿易額(財務省統計による)」
2010年
 ★貿易輸出先★ 中国(含香港)16.8兆円、米国10.3兆、韓国5.5兆、台湾4.6兆、タイ3兆・・・・
 ★貿易輸入先★ 中国(含香港)13.5兆円、米国5.9兆、豪州3.9兆、サウジ3.1兆、アラブ首長国2.6兆、韓国2.5兆・・・・
2012年の貿易額もオープンにされたので追加し、下記に示しておく。

 ★貿易輸出先★ 中国(含香港)14.8兆円、米国11.2兆、韓国4.9兆、台湾3.7兆、タイ3.5兆・・・・
 ★貿易輸入先★ 中国(含香港)15.2兆円、米国6.1兆、豪州4.5兆、サウジ4.4兆、アラブ首長国3.5兆、韓国3.2兆・・・・
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ちなみに各国に対する日本の貿易黒字と赤字は、以下の通り。
2010年は
 米国4.4兆円 >中国(香港含む)3.3兆 >韓国3.0兆 >台湾2.6兆 >EU全体1.3兆 >インドネシア1.1兆円 貿易黒字。 
 サウジ2.6兆円 >豪州2.5兆 >アラブ首長国1.9兆  の貿易赤字

2012年は
 米国5.1兆円 >台湾1.8兆 >韓国1.7兆 >タイ1.6兆円  貿易黒字。 
 サウジ3.8兆円>豪州3.0兆>アラブ首長国2.8兆>マレーシア1.2兆>インドネシア1.0兆>中国(香港含む)0.4兆>EU全体0.1兆円 の貿易赤字


(貿易収支に関するコメント)
 2010年も2012年も、日本は対米国の貿易黒字が圧倒的だ。これでは米国にはTPPでも逆らえないはずで、もっと黒字相手国を分散しておかないと、日本は米国の属国になってしまう。
 2012年には原発停止と超円高もあり、対韓国、台湾との貿易黒字は半減してしまい、インドネシア、中国(含香港)、EUに対しても日本は貿易赤字になってしまった。 しかし、1国の大きい貿易黒字を減らすことと、少々の貿易赤字は、経済大国日本として近隣諸国との良好な関係を維持するには必要なことと思う。その不足分は莫大な海外資産による貿易外収支で補えばよいことだ。
 問題は、サウジ、アラブなどの産油国と、オーストラリアなどからの鉄鉱石や石炭、LNGなどの資源輸入だ。 これらの国からは日本はずっと大幅な輸入超過で、これらの国にとって日本は大得意先のはずなのに、石油や鉄鉱石を輸出してやっているくらいにしか受け止められていない。 これらの国からの資源輸入を何とかして減少すること、そして輸入先を多国間に分散し、競争してもらうことが日本にとって必要だ。その意味で、アメリカやカナダからのシェールガス・オイル輸入を促進することは非常に重要だ。特に米国からの輸入は対米貿易黒字を減らす意味でも役に立つ。分散化の意味でロシアからの天然ガス輸入も促進すべきだ。
 しかし日本にとって一番大事なことは、少しくらい高くついても、今のうちに自前の再生可能エネルギー源をできるだけ多く開発しておくことだ。 原発再稼働は必要悪として認めても、自民党の再稼働だけに情熱を注いでいる姿は異常であり、もっと太陽光発電や風力発電、地熱発電などの再生可能エネルギー開発に国家予算を投入するべきだ。 また、鉄鉱石や石炭も輸入先を分散し、あるいは現地に進出して製鉄をすべきだ。 もはや日本に重厚長大な製鉄工場を造る意味はない。
 
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「中国経済について」
 中国経済はもはや金融緩和しても成長が促進されない構造になっているので、当局による量的緩和はあまり期待できない。下手に金融緩和すると不動産バブルがはじける。 かといって、必ずしも近いうちに中国経済のバブルがはじけてハードランディングするとは、私は思っていない。 たしかに2012年に中国経済は減速しているが、それは輸出主導型経済を国内消費主導型経済に転換するのに手間取っているからだ。中国当局は、従業員給与の引き上げ政策を組んだところである。給与引き上げで起こる消費増を、経済システム転換に使おうとしてきた。現在のところ、中国人は貯蓄性向が強いため内需が拡大せず、経済成長につながっていない。 しかし中国経済は、むやみに金融緩和するなどの失政がなければハードランディングには至らず、ここ4-5年の間に成長率は徐々に5%程度にまで低下しながらも、長期的には成長していくだろう。 5%成長といっても、日本の後期高度成長時代の経済成長率と同じだから大きい。 しかし、いつまで5%成長を維持できるかは今後の課題だ。

 これまで30年近く中国経済は経済成長率10%以上の飛ぶ鳥を落とす勢いできたが、2012年には変化があった。一つは中国のもっとも上得意であるEUの経済危機による貿易輸出の減少である。 さらにあと一つは、中国の労働人口(生産年齢人口比率)が2012年にピークの10億人を迎えたことであり、2014年には中国においては労働人口が減少し始め、それから5-10年遅れて人口オーナス期に突入する (人口オーナスの定義は、厳密には労働生産人口が非労働年齢人口の2倍を下回り経済成長が抑制される時期のこと)。 そのため中国の景気は、もうゆっくりと長期の下降局面入りを始めている。 実際、2012年の4~6月期の実質GDP成長率は8%には達せず、前年比7・6%にとどまった。 しかも中国統計のGDP成長率は0・5%くらい高めに出ると言われているので、実態は7・1%だった可能性がある。

 中国は構造的に政府等の投資依存の経済であり、2010年ではGDPの47%を投資が占めた。今後は内需消費のウエイトを高めない限り安定的な経済成長は不可能であるが、問題はそのきっかけをいつ掴むかである。しかし、この4~6月期の成長率が8%を割り込むと、中国指導部は浮き足だってしまった。その証拠に、早くも7月以降に景気は回復するという楽観論が、中国政府筋からは意図的に流されていた。 当局が中国はじっくり安定成長させるとしていた政策はどうなったのか。

産経新聞(2012年7月14日)は、次のように伝えている。
「中国にV字回復説? 中国共産党指導部が10年に1度交代する党大会を今秋に控える内政事情から、次なる経済対策は待ったなしだ。政権交代プロセスでの駆け引きをめぐって、党内の権力闘争が夏にピークを迎える。四半期で7%を切る成長低下を招けば、胡錦濤指導部に対抗する勢力には格好の攻撃材料になる。しかも失業者増は反体制デモなど社会不安増大に直結する」。
「国家統計局の盛来運氏は7月13日の会見で、『成長安定化を一段と重視する』と述べ、成長優先の経済政策にかじを切る政府方針を確認した。関係筋は、追加利下げなど金融緩和策と追加景気対策を8月までに打ち出し、『10月18日に発表予定の7~9月期の成長率をV字回復させ、党大会で胡指導部の花道にするシナリオがある』と明かした」。


 ここで説かれているのは、中国共産党が権力争いをするのに不景気では現政権の格好がつかないので何か手を打つだろうとの期待感である。しかしV字回復の妙手があるとは思えない。「8月までに金融緩和策と追加景気対策」を打つにしても、政策発動から効果が出るまでには「タイムラグ」を伴うものだからである。この政策担当者は、「タイムラグ」を認識していないのか、派手にアドバルーンをあげてみたのか、どちらだろうか。
 従来の中国の景気回復特効薬はインフラや住宅不動産投資へのテコ入れであり、ここ10年ほどはその繰り返しであった。こうして中国には「住宅不動産神話」が生まれた。リーマンショックの後の世界不況対策として中国は2009年、4兆元(約50兆円)もの大金を公共事業に投資して、中国だけでなく世界景気もある程度回復させ、世界中から喝さいを受けた。 このように、これまでインフラ公共事業投資や住宅不動産投資によって、中国は不景気を回復してきた。
 しかし過剰投資の副作用バブルは今では中国経済の死命を制するほどになってしまい、この手はもはや使いづらい。温家宝総理はその旨を再三にわたって国民に強調していた。 しかしながら2012年秋に、中国政府は突如として1兆元(12兆円)のインフラ公共投資を決定した。この投資は地方負担分が多いとの説もあるが、中国としての負債であることには違いない。  10月の中国共産党大会を控えて、中国政府としてはインフレ防止よりも不景気対策が重要と考えたのだろうが、今後中国経済にボデーブローのように効いてくる副作用が心配である。

「科学的発展観」
 今秋の中国共産党大会で、胡錦涛党総書記は交代する。さて「ポスト胡錦涛」はどうなるのか。胡錦涛氏は、次期総書記を予定されている習近平氏にすべてバトンタッチするのだろうか。
 胡錦涛氏は「科学的発展観」なる政治スローガンを掲げて、均衡成長路線を定着させるべく努力してきた。今秋の党大会前に開かれた全国31の省、自治区、直轄市レベルの党代表大会においてもこの「科学的発展観」が盛り込まれ、習近平・次政権はこの科学的発展観の均衡成長策に縛られることになった。
 実は、薄熙来事件の裏では、これまでの経済成長の恩恵が及ばなかった貧困層まで経済成長させる経済拡大路線をとる旧守派の江沢民派上海閥が暗躍したとも噂されている。そのためこれに反対する胡錦涛氏が、新政権では「科学的発展観」のお目付役である「中央顧問委員会」主任となり、副主任には温家宝氏が就任すると噂されている。 さらには、胡錦涛氏が人民解放軍トップの「中央軍事委員会主席兼任」して、軍部も掌握することも取りざたされている。 もし本当にこれらが実現すれば、過渡的には「胡錦涛院政体制」が出来るのかも知れない。しかし旧守派は、先日も温家宝氏の均衡成長政策を批判して失脚させようとする連判署名を提出し、却下されたところだ。 政権交代を控えての権力闘争はすさまじい。

「4億人が病気で、労働者の引退年齢は53歳の中国社会」
 国の経済を見る上で最大の指標は「生産年齢人口比率」である。生産年齢人口(15-64歳)が総人口に占める比率だ。これが増える時期を人口ボーナス時期というが、中国は今人口ボーナス時期が終焉しつつある。さらに中国の場合は問題点がある。それは中国の平均退職年齢が53歳であることだ。 国際統計では64歳までを生産年齢人口として計算している。中国の場合、そのはるか手前で労働現場からドロップ・アウトしているのだ。
  『京華時報』によると、中国での慢性疾患者は4億人もいることを伝えている。慢性病患者の45%が70歳になる前に死亡している。中国では高血圧患者が2億人、肥満患者は1・2億人、糖尿病患者は1億人であり、合計で4億人を超えている。20年後には40歳以上の慢性病患者が、今の2~3倍に増加するとも予測されている。健康保険や年金などの社会保障制度も全く十分ではない。今後の高齢化社会を中国指導部は深く憂慮している。
 中国では、2015年から労働力人口が減る時期にはいるとされている。日本では1990年に労働人口減少期に入り、2000年頃からは経済的停滞に入り、それ以後は、いくら政府が公共投資をして景気を刺激しても、国の借金が増えただけで景気は回復しなかった。人口オーナス時期とはそういうものであり、日本で労働人口減少時期から本格的な不景気まで10年のタイムラグがあったのは、日本では60歳を過ぎても働く人が多かったからだ。 中国では生産年齢は55歳くらいであるため、労働人口減少時期に突入後、速やかに経済停滞に入る可能性も強い。中国の賢明な指導部は、人口オーナス下での日本の経済対策失敗を教訓にしているはずだ。
 こうした中国経済の潜在問題要因は一般には認識されずにいる。 2012年、他諸国が中国投資を控えて東南アジアなどに投資先を振り替える中で、なぜか日本だけが突出して中国への設備投資を前年度比で増加させている。 日本企業も中国リスクを考えるならば、もうそろそろ新規設備投資を考え直すべき時だ。日本製品不買デモまで起こされる中で、販売支店の進出くらいならともかく今から中国に工場進出する企業があるとは、私は全く理解できない。 ほかにも進出先はあるだろうに、経団連企業は中国と心中するつもりなのか。思考が劣化しだんだん農協に似てきた経団連も、中国依存と法人税引き下げと原発再稼働ばかり政府にお願いするのではなく、少しは自分の頭と資金を使って日本としての国際戦略を練ってみてはいかがか。

「中国と日本の領有権主張をめぐる政治的緊張」
 日本と中国(含香港)との経済関係は、上述の貿易額を見ても米国よりも深いし、しかも香港分を除けば貿易収支は均衡している。ここまでの大きい経済関係があれば、もうお互いにどれだけ嫌な相手であっても仮面夫婦のように我慢してやってゆくしかない。 EUはこれからしばらくは景気が回復しない。泣き面に蜂と言おうか、WTO違反で中国の太陽光ソーラーパネル輸出も米国やEUから締め出されそうになっている。 中国の中小企業や国有企業はどんどん淘汰されてゆくが、中国企業にとっての今後の重要な輸出開拓先は、もはや日本しかないのだ。 ちなみに、2012年上半期の対中国貿易赤字が1・5兆円に達したという報道がなされているが、実は香港を含む中国と日本との貿易はトントンである。
 中国では今の状態で経済成長率が5%を切れば、食い詰めた農民工たちによる国内暴動が起こって国を治められなくなるし、これから貧困層が高齢化しても年金や社会保障などの公共支援も出来なくなる。 今後は中国も経済的にも政治的にも苦しい時期に突入する。中国の政治家はそのことが分かっているが、中国の大衆や軍部はそのことを理解せず、GNPで日本を抜き世界第2位になったことで有頂天になっている。

 選挙を控えて国民の不満を外国にぶつけようとする政治家や、何か政治騒動を起こそうと目論んでいる者にとっては、外国批判はアピールできて魅力的かもしれない。 しかし、2010年の尖閣諸島漁船衝突事件では、日本も中国もいずれも経済的にも政治的にも全く得をしなかった(当事者の漁船船長も無職状態と聞くし、得をしたのはアジア介入の口実ができた米国だけだ)。 一般の日本国民の間に嫌中感情を植え付けてしまったこの2010年の尖閣衝突事件の結末を、中国や香港でも少しは教訓にしてくれていれば良いが・・・・・。


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「韓国と日本の領有権主張をめぐる政治的緊張」
 韓国はせっかく竹島を実効支配できているのに、わざわざこの時期に李明博大統領が竹島上陸し、さらにオリンピックに政治アピールを持ち込み、天皇批判までして意図的に日本との仲を悪化させた。大統領はこの一連の行動によってすっきりしたかも知れないが、やっと韓国経済がグローバル浮揚してきたこの時期に、一体なぜ騒動を起こさねばならなかったのか。
 実は、韓国と中国との貿易量は2004年には日本や米国を抜き去り、2009年には日米両国の貿易量を合わせたよりも大きくなっている。しかも貿易収支は黒字で、GNPの大部分を輸出に頼る韓国にとっては今や日米よりも中国のほうがずっと大事だ。今年に入って、韓国ではEU経済危機の余波で対中国輸出額が1割も減って困ってはいるが、それでも韓国にとって中国は日本よりもずっと上得意の貿易相手なのだ。
はっきり言うと、韓国は将来を熟慮して日本を経済的に見切って中国に乗り換えたということで、これは李明博大統領だけの思惑ではなくて韓国の戦略であろう。
 まだ日本の経済影響力が多少は残っている2012年に動いたことは、李明博大統領の個人的な事情もあるのだろう。 実は次期政権の大統領がだれになろうとも、これまでの北朝鮮敵視政策をやめて融和政策に転換する方針だ。そうなると、政治的な観点からも軍事的に重要な米国とは同盟を死守しておくが、貿易赤字相手で国力も落ちている日本はもう切リ捨てて、今のうちに北朝鮮に近い中国にすり寄って対北朝鮮交渉のリーダーシップをとれるきっかけを作っておきたいとの誘惑に、残り任期が少なくなった李明博大統領は駆られたのであろう。 大統領が交代すれば日韓関係は元に戻るだろうなどと、日本の古い政治家や経済界、大手マスコミが甘く考えているとしたら、それは大間違いだと言っておく。 日本と韓国はもう政治的にも経済的にも完全なライバル関係に様変わりしたと認識して、韓国に対してきっちりと拒否すべきことは拒否してゆかないと、日本の子孫につけを残すことになる。
 韓国も、2015年頃にはこれまでの経済成長を支えてきた労働人口増加時期が終わる。 韓国の出生率は日本よりも低いため、今後の人口オーナスの経済的影響も大きい。日本がこれまで10年以上耐えてきた長期不景気、就職難時代が韓国にも忍び寄っているのだ。 今は世界経済全体が不透明で、天候不順による世界食糧危機も勃発しており、来年くらいには再びウォンの暴落もあるかもしれないのだが・・・。


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日 本 の 問 題---------------------
さて、日本であるが、
 日本は20年にわたる労働人口減少と、さらには2005年からの人口減を経て、もう経済大国としての影響力もなくなったが、バブル後の長期デフレで国民の忍耐力だけは鍛えられた。人口減、人口オーナスの中、微々たる数字ではあるが実質的に経済成長を続けてこられたのは世界でも誇ってよい事例であり、これこそ日本国民の忍耐力のたまものである。これまでの戦後60年間で、日本は廃墟の中から世界第2位の経済大国にまで発展してきた。 この過程で、日本との経済協力に手を組んだ諸外国、すなわち台湾、韓国、中国、タイ、インドネシア、シンガポールなどに関しては、現在、日本を凌ぐまでに経済成長できたことも歴史的事実であろう。
 そのようななか日本の経済力が相対的に落ちてきており、その関係もあって韓国、ロシア、中国から貿易問題だけでなく領土問題でも挑発を受けているが、戦前の日本に対する米英からの石油禁輸措置などに比べれば、現在のこの程度のいやがらせは可愛いものである。

 日本のこれまでの経済成長は、良くも悪くも戦後の1947-1949年生まれの団塊世代が引っ張ってきた。しかし2012年、この世代のサラリーマンは65歳になり完全退職しつつある。例え東北大震災やフクシマ原発事故が無かったとしても、日本の経済力がここにきて大きく落ちたのは必然だ。 この世代は高齢化による死亡者数も多く、いつのまにか日本で最も多い団塊グループは1970-1980年生まれの団塊ジュニア世代になっている。 団塊ジュニアは、1960-1970年生まれ世代のような1989年虚栄バブル時代の恩恵も受けられず、氷河期就職難も経験した忍耐世代でもある。今後の日本をどう動かしてゆくかは、1960-1970年生まれ世代を飛ばして、いまや団塊ジュニア世代にかかっている。

 ただし、引退した団塊世代も一筋縄ではいかない。この世代はこれまでは経済成長に大きく貢献してきたが、今後は日本に負荷をかけるようになる。しかもそれだけではなく、この世代は今後日本の政治に大きくかかわってくる。この世代の特徴は、幼少期には進駐米軍を横目に見ながら空腹を抱えて過ごし、青年期以降は学生運動にかかわり、壮年期は企業競争社会で揉まれてきた分、砂のように個人主義だ。 これまでの団塊世代は企業文化の中で生きてきたが、完全退職で企業文化との縁も無くなり、政治の場でも既成政党とは全く無縁に活動し始めている。原発反対のデモにも団塊世代が多く参加していると聞く。 このような連中を相手にするのは大変厄介だが、これまでの政治経済システムの抜本改革のために使うにはうってつけの存在かもしれない。

 財界企業や地域独占電力会社の原子力発電などに頼ってきた旧来の日本経済システムは、団塊世代が引退し人口オーナス且つ人口減少下の日本の実態には、もはやそぐわなくなっている。 このことは、フクシマ原発事故などを機に、原発エネルギー比率を決める各種の国民議論を深めても、結局は経済成長よりも原発ゼロシナリオを選ぶメンバーが増えることからも明らかだ。 今の日本は新しい時代の経済システムを模索している。 古い思考しかできない経済界、政界、マスコミはもう早く退場してもらって、今後は団塊ジュニア世代によって戦後経済成長体制の完全な一新を進めるしかない。 頑張らず、しなやかに・・・・。 日本の将来をこの団塊ジュニア世代にゆだねたい。

 日本の大企業は今後は、日産ルノーやソニーのように、日本政府の庇護を受けようなどと考えずにグローバル国際企業に脱皮するしかない。グローバル企業になれない地域の中小企業は、日本政府ではなく地方自治体が支援することになろう。 電力会社は究極の地域企業であるが、原発危機にどう対処するのかについて、今後は政府頼りでなく自分達と地域とで決めなくてはならない。 
 この5年くらいは、日本からも目が離せない状況が続く。
           -以上-

2012年8月17日
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