2012年原子力規制委員会による原子力発電所敷地の安全性調査始まり福井敦賀原発2号機や青森東通原発の再稼働は困難に。さて日本の将来の電力エネルギー施策は? 3年後再稼働可能な原発は35基程度で、原発比率は17%に落ちるか?
 2010年時点で日本の原子力発電所の原発は54基が稼働し、年間総発電量1兆キロワット時の27%をまかなっていた。 しかしながら、フクシマ原発事故のあと厳しくなった原子力規制委員会の評価査定により、もはや再稼働できないだろうと思われる原子炉も出てきた。
 福島県第一原発4基はすでに廃炉決定し、福井県敦賀原発2号機、青森県東通原発1号機は規制委員会の活断層評価により再稼働困難となった。このほかにもんじゅ1基、静岡県浜岡原発3基も再稼働困難だし、福島第一原発の残り2基は地元反対で稼働できない。また敦賀1号機も、活断層に近い上に40年近く稼働している旧型炉だ。福島第二の4基再稼働も、地元の合意はまずとれないと思われる。新潟県柏崎刈羽原発再稼働も地元の反対が強いし、40年以上稼働している旧型原発も今後は続々出てくる。加えて、青森県大間で計画中の原発建設についても、原発立地周辺地域の北海道住民の着工反対裁判提訴などでなかなか手が付けられないでいる。 この状況は、安倍政権が誕生しても簡単に変えられるものではない。

 すなわち、3年後も再稼働困難な原発は約20基にのぼり、新規原発炉建設もなかなか困難である。残りの原発全部が3年後までに再稼働したとしても、原発による発電能力は
35基54基2010年時点の7割程度でしかない。 即ち、原発だけでは3年後には日本の総発電量(=電力総需要量)の17%程度しかまかなえなくなり、民主党が最初の頃に主張していた脱「原発依存」、「原発比率15%」の実現性が高まってきたということだ。
 私は、「2030年代に原発ゼロ」は日本の状況では実行困難と考えるが、
3年後に再稼働可能な原子炉は約7割の35基しかない。さらに40年以上稼働している老朽化原発もこれから増えてくるので、必然的に原発は減らざるを得ない。原発再稼働を期待する自民党が衆議院議員選挙で単独過半数をとったが、原子力規制委員会に圧力をかけにくい状況であることも事実である。 こうなれば、日本としては安倍政権になっても新規原発建設の道も探りつつ、原発比率15%を念頭に置いてエネルギーミックスを考えてゆくしかない。
 

 このように、放っておいても3年後には原発比率17%程度になる可能性が高まってきた以上、電力企業としても原発再稼働推進ばかり叫んでいないで早めに次の手を打つことが求められる。 原発比率27%から約17%まで減少した原発発電の代替として、まずは手っ取り早く石油や天然ガスを輸入して火力発電で補ってゆくしかないが、高価格の化石燃料輸入が長期にわたるとその貿易赤字で日本経済がむしばまれてゆくことは明白だ。
 化石燃料を輸入せずに自前のエネルギーで済ませるとなると、太陽光、地熱、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー活用しかない。たとえ再生可能エネルギーの発電コストは高くても、火力発電用化石燃料輸入と違って、再生可能エネルギーへのお金は日本国内を回るので、日本の内需拡大および地方での雇用拡大に貢献するのだ。
 電力企業は再生可能エネルギー開発には消極的だが、この理由は
、「せっかくこれまで莫大な設備投資をして作ってしまった既設原発が再稼働できずに廃炉になったのでは、電力会社の経営が成り立たず全くたまったものではない。 また再生可能エネルギーなどの発電には、お金をかけて蓄電施設や電力網などのインフラ整備もしなくてはならない。さらに言うと、再生可能エネルギーのようなチマチマした発電では手間ばかりかかって企業利益が出せない」、ということに尽きよう。 
かといって新規原発を電力会社が一から建設することなどは、もはやリスクが大きすぎるしコスト的にも採算がとれず、電力会社としては全く考えて居ないはずだ。
(政府が原発事故後に試算した原子力発電コストは「8.9円以上/kwh」となっているが、福島原発事故の東電補償額は今でも増え続けており、最終的には原発コストの見積もりは約11円/kwhになりそうである。 これでは石炭や天然ガス火力発電よりも原発発電のコストのほうが高いことになり、電力企業が新規に原発を建設する経済的メリットは全く無い。)


 それでは、どのようにすればよいか? COP対策はさしあたり横に置いといて、石炭火力発電の導入や産油国との天然ガス化石燃料の購入価格引き下げ交渉を実施しなくてはならない。 また原発廃炉については、当時原発建設を認可した国
(自民党)にも責任があるのだから、原発立地地元とともに国に対して損害賠償補償を請求する権利がある。 さらに、原発は絶対安全とは誰も言えなくなったのだから、原発再稼働するにしても原発立地周辺地域への電気料金割引制度(10キロ圏は9割引き、避難区域の30キロ圏までは7割引き、50キロ圏は半額)などの経済援助を、電力会社は迷惑料として提供する必要がある。 電気を大量に使う工場は、海外に出るよりは原発近くに立地して安い電気を利用してはいかがでしょうかと言うことだ。 
 
原発再稼働しさえすれば電気料金が前のように安くなるなどと安易に考えている人がいるかもしれないが、それは間違いであり、安全対策無しの原発を稼働して大企業工場向けに非常に安価な電気を送る時代は終わった。原発にミサイルテロや大津波への安全対策を施し、原発目減り分の発電を化石燃料を輸入して発電することで、必然的に今後の大工場向け電気料金に関しては2倍近く値上がりするだろう。 一方、家庭用電気料金に関しては、今までの料金が高すぎたので2割くらいの値上がりで済む。原発がない沖縄電力並みの料金になると言うことだ。

---------再生可能エネルギー特にソーラー発電--------
 
ところで、再生可能エネルギー発電は、日本の現状ではほとんどが水力ダム発電によるものだ。太陽光発電は現在ほとんどゼロに近いが、実は2013年中には日本の太陽光発電パネル設置容量はメガソーラと家庭用を併せて累計8ギガワット(8百万キロワット)に達すると言われている。 8ギガワットソーラーパネルは年間に100億キロワット時の発電ができるので、2013年末には日本の総発電量(電力需要量)の1%を太陽光ソーラーパネル発電でまかなえることになる(太陽の出ている日中だけに限ると、日本の電力需要の約3%をソーラーでまかなえる計算になる)。 なお、再生可能エネルギー施設を電力企業自らが設置する必要は全くないが、接続電力網などのインフラ設備充実については国が電力会社に資金援助すべきだろう。

 
ちなみに経済産業省は、2012年の4-11月の間に発電開始した太陽光ソーラー、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー発電設備の容量が144・3万キロワット(すなわち1・4ギガワット)に達したと、2012年12月に発表した。 これは固定価格買い取り制度が7月に始まったて普及を後押しした結果であり、2013年3月までには4ギガワット程度のソーラーパネル設置が期待されている。 現時点までの内訳は、住宅設置太陽光ソーラー発電容量が102・7万キロワットと全体の7割を占め、大規模太陽光発電所(メガソーラー)は37・1万キロワットで太陽光ソーラーパネルの合計設置容量は1・4ギガワットであった。
 実は、2012年度後期から来年度に向けては、地域では自治体が音頭をとって県有地へのメガソーラー設置を計画している。バブル期に工業団地向けなどに確保していた県有地が売れ残って空き地になっているため、県有地の活用を図っているのだ。今後は、このような遊休県有地や、農協やJR施設の屋根などを活用したメガソーラー設置が増えてくると期待されている。 さらに遊休農地へのソーラー設置の規制緩和
(ソーラー電気を農産物であると認定し、農地転用せずに農地のままでソーラー発電可能にするなど)が進めば、ソーラー設置は今後急激に増えると予想される。 なお、太陽光以外の再生可能エネルギー発電設置は立地の規制緩和が進まなかったためか、2012年4-11月設置はバイオマスが2・8万キロワット、風力発電は1・4万キロワットだけしか設置されなかった。

 2012年4-11月に新規施工された1・4ギガワットのソーラーパネルは、実際には年間に17億キロワット時の発電をする。日本の総発電量の0・2%だ。 これだけでは全く不足だが、年間4ギガワットずつ増やして今後20年間で累計80ギガワットのパネルを敷設できれば、
日本の総発電量=総電力需要量の1割を自前で確保でき、高価な化石資源輸入なしで原発電気の減少分を補えるようになる。 この1割程度までのソーラー普及ならば、地域間のスムースな電力網を用意すれば大容量蓄電池などは全く不要なことがドイツの例で分かっている。 ソーラー発電の普及は、化石燃料輸入を減らして電気料金もたいして高くせずに済むので、国としては一挙両得だ。
 そのように考えると、化石燃料輸入なしで自前で発電できる太陽光ソーラー発電の普及のためには、遊休農地を転用せずにソーラー用地に解放するくらいの規制緩和をしてほしい。
今でも減反政策で米作農地は余って遊休化している。 最近では太陽光ソーラー発電への投資コストも下がり、5-7年で投資を回収できることも分かってきた。太陽光ソーラー発電を収益率の高い転作農産物として活用するほうが農家が喜び、設備投資も進む。地場銀行も融資先が増えて喜ぶ。このような方向への農地法規制緩和や改正は、農協も誰も損をしないウィンウィン政策だ。 TPPの農家対策としても、個別農家への少額の現金バラマキなどよりもずっと経済効果が大きい政策であろう。

 このたび政権をとった自民党も、3年間は全力でソーラーなど再生可能エネルギー発電普及を行って様子を見るとしているが、道路や箱もの作りなどの公共事業よりも再生可能エネルギー普及に向けて3年と言わず10年間くらいの集中的な政府投資を考えたほうが、地域経済振興に貢献するし将来の日本の経済のためにもなるように思えるが、いかがであろうか。
  -以上-
2012年12月25日
九州ホーム > 会員トピックス