世界最大のリチウム資源量を誇るボリビアで、塩湖からのレアアースリチウム採取プラント事業が日本の協力で進展している。反米左派のモラレス政権は、リチウム採掘だけでなく電池原料への加工までも自国開発で行いたいと発表/ 日本領海の南鳥島深海底の黒色泥中のレアアース・ジスプロシウム含有量は抜群に豊富。 政府は新海洋開発計画で海底レアメタルやメタンハイドレートなどについて2018年度までに採取技術を開発する計画。
 「ボリビアでリチウム抽出プラント本格化。日本が共同実験(2013年2月23日)」 /ボリビアのウユニ塩湖のリチウム採取の写真などhttp://www.excite.co.jp/News/economy_g/20130223/Kyodo_BR_MN2013022301001698.html, http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY200910310450.html
 世界のリチウム埋蔵量の約半分(中国やチリ、アルゼンチンにも埋蔵が確認)が眠っているとされる南米ボリビアのウユニ塩湖で、同国と日本による塩水からリチウムを抽出する本格的な実験が2013年2月に始まった。 この抽出に携わる外国勢は日本のみであり、電気自動車用電池などに使われるリチウム資源の争奪戦では日本が優位に立つ。 ボリビア政府は、実験に参加している日本の機関がどこかは明らかにしていないが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構JOGMEC と推察される。 JOGMECはボリビアとリチウム採取共同研究協力契約を2010年に締結したが研究遂行が遅れ、やっと2012年に入ってから研究が進展し始めたところであった。
 ただし反米のモラレス政権は、リチウム採取のみならずバッテリー生産までの一貫したリチウム関連産業のボリビア国有化の姿勢を崩しておらず、日本商社などが参加するリチウム関連産業事業展開へはまだ多くの壁がある。
 モラレス大統領は2013年1月、「ボリビアの単独技術のみで、リチウムイオン電池の生産に必要な高純度の炭酸リチウム生産に成功した」 と発表し、「我が国の重要資源であるリチウムについての国営産業化は絶対に失敗できない。その上で、外国の自動車バッテリーメーカーなどのウユニ湖近辺への工場誘致も考えたい」 と述べていた。 (ウユニ共同通信社2013年2月23日)
 
------------------
 
石油天然ガス・金属鉱物資源機構JOGMECはボリビアのリチウム資源産業化の研究開発に協力決定(2010年11月10日)
 日本の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は11月9日、ボリビア多民族国鉱山公社(COMIBOL)と、ボリビアにあるウユニ塩湖のリチウム資源の産業化に向けた研究開発で協力することで合意した。
 JOGMECは2009年6月、官民合同ミッションをボリビアに派遣して、ウユニ塩湖かん水からのリチウムなどの回収技術を住友商事や三菱商事と共同開発してきた。 これまでボリビア政府に対して、独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)など、日本における各種のリチウム採取技術力http://www.kagawa-isf.jp/rist/seika-happyou/21tang.pdf を示してきたことが奏功した形である。 今後は、ボリビア側がウユニ塩湖湖畔に建設中のパイロットプラントに日本の試験機材や技術者を導入し、試験を開始する。
 リチウムは、リチウムイオン電池の原材料であり、今後、電気自動車やプラグイン・ハイブリッドカー向けのリチウムイオン電池用に需要が大幅に拡大する見通しで、ボリビアでの協力は今後の資源の安定調達につながる。 JOGMECは、今回のウユニ塩湖リチウム資源開発に加え、今後も地域開発、産業創出、人材育成などでも協力していく方針だ。

---------------------
 「2009年のボリビア日本大使館報告書によるリチウム資源開発の経緯」

(1)仏のボリョレー社は、ウユニ塩湖のリチウム回収及び産業化に係る提案書をボリビア政府に提出した。
 提案書では、同社はリチウムの回収のための第1フェーズに5百万ドルの投資を、第2フェーズとしてリチウム回収工場の建設のために1千万ドルの投資を行う旨、また第3フェーズとして炭酸リチウムの生産、第4フェーズとして他の派生物質の創出を行っていく旨明記されている。
 エチャス鉱業冶金大臣は4月21日、9月にサルコジ仏大統領のボリビア訪問が予定されており、それ迄に仏企業とリチウム開発に係る合意に達する可能性がある旨の発言を行っていたところ、22日、同大臣は右発言を訂正し、リチウム開発に関してボリョレ社からの提案があったことは事実であるが、右提案について現在検討中であり、同社との合意に至るには未だ距離がある(aun esta distante un acuerdo con Bollore)旨述べた。 (2009年4月23日)
(2)ボリビア政府は、ウユニ塩湖での炭酸リチウム生産を如何なる企業とも提携することなく、行いたい旨発表した。
 2009年2月、モラレス大統領は仏と露で、リチウム開発の投資及び援助を要請した。 これまでに、日本の住友商事、三菱商事、仏のボリョレー社、韓のLG社がリチウム開発に関心を表明したが、これらは原料としての生産である。 一方ボリビア政府側は、産業化に向けた提案にのみ関心を示しており、例えば自動車用のバッテリーを生産するなど、産業化による付加価値を享受するため、原料のみの生産はしないと述べている。
 2月9日、日経新聞はボリビア政府がリチウム生産に係る日本との契約を締結したと報道したが、エチャス鉱業冶金大臣はこれを否定し、日本からの提案内容が弱いことから合意に至っていないと説明した。 具体的なパートナーが決定していない状況で、ボリビア政府は単独でリチウム開発に着手することを決定した。 しかし、ボリビア政府は産業化のためには援助が必要であることも理解している。 政府は炭酸リチウム生産用のパイロットプラントを建設中で、2010年に完成予定である。右プラントでボリビアと日本は様々な炭酸リチウム生産方法を実験中である。 その後商業プラントを建設し、2014年には炭酸リチウム生産に向けた準備が完了し、産業化に向けた提携を模索する。
 プラントでは、塩水から塩化カリウム、硫酸カリウム、ホウ酸も生産する。 この計画は、ポトシ県南西部やウユニ塩湖での副原料生産をも推進するものである。 ボリビアが、日本企業が研究している炭酸リチウム抽出方法を採用した場合、日本企業はボリビアでのリチウム開発の優先的顧客となる。 日本はこの実験に関し、ボリビアに対して無償で援助している。 ベルトラン鉱業冶金局長は、いずれにしろ、国内での産業化やリチウム電池生産の過程において会社を設立する際、三菱商事と住友商事に優先権を与える訳ではない、と述べている。
 6月4日、ボリビア政府は日本側のミッション(三菱商事、住友商事、JOGMEC、田中駐ボリビア大使)と会合を行った。 2月には三菱商事が、チリやアルゼンチンには既に開発された塩湖があり、チベットも有望であるが、ボリビアの埋蔵量が世界一である、と述べている。 (2009年6月14日)

            (-以上はボリビアのリチウム塩湖関係記事-)
--------------------------------------------------------------------------------------------------------



 「日本の南鳥島周辺深海底の黒色泥中のレアアース・ジスプロシウムは含有量豊富、しかし実用採取には高度の掘削技術開発が必須。 国産自前資源として有望か (2013年2月)」

日本の排他的経済水域である南鳥島沖の海底には、2012年、大量のレアアースが存在することが明らかになりましたが、その濃度は元素の種類によっては中国の鉱山の30倍以上であることが、2013年の現地海底調査の結果で分かりました。
 深い海からの泥の引き上げ技術の確立や、採算がとれるかといった課題がありますが、専門家は 「フランス海底油田掘削企業などはすでに海底掘削装置の技術力は有しており、日本でも本腰を入れて開発すれば実用資源として採取可能」 と期待しています。

日本の排他的経済水域である南鳥島沖の海底の泥には、2012年、大量のレアアースが存在することが東京大学の研究で明らかになり、今年1月には船舶による現地調査が行われました。 調査では、水深5000メートルを超える海底から7カ所の赤色泥や黒色泥が採取され、そのうち4カ所の黒色泥を分析した結果、レアアースが6000PPMという高い濃度で含まれていたことが確認されました。 レアアース濃度は海域や深さによって異なっていたということですが、濃度の高い黒色泥の場所では、レアアースの中でも特に重要とされハイブリッド車の製造などに欠かせないジスプロシウム(特に希少で中国鉱山に偏在しているレアアース金属の一種)が、中国南部の鉱山のおよそ20倍の高濃度で含まれていました。 また、この黒色泥の中には、LED照明などに利用される「ユウロピウム」が35倍、IT機器に必要な「テルビウム」も16倍の濃度で含まれていたということです。 

 泥の分析を行った東京大学の加藤泰浩教授は、「レアアースが高い濃度で含まれる黒色泥が海底面に近いところで見つかったので、資源として開発できる可能性が高まった」 としています。 さらに好ましいことには、中国レアアース鉱山など陸上での採鉱の際に混入していて問題になっている放射性トリウムは、なぜか海底黒色泥には全く含まれていないために、レアアース抽出精製する際の処理が容易になることが期待されます。
 ただし、今回レアアース黒泥が見つかった5000メートルを超える深海では、世界的にもこれまでに資源開発が行われた実績はないため、経済産業省などは今後、引き上げ技術の開発や採算がとれるかといった課題について、検討を進めることにしています。  
--------------------------


 「レアアース、レアメタルやメタンハイドレートなどの深海海底資源確保、日本政府は2018年度までに実用採取技術を開発整備する海洋基本計画方針 (2013年2月)」。

 日本政府が海洋政策の指針とする新たな「海洋基本計画」の原案が判明した。 このなかで、海底に眠る次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」について、商業化に向け採算の取れる技術を2018年度までに整備すると明記した。 今後3年程度でレアアース(希土類)の資源量調査を実施する方針も打ち出した。
 安倍晋三首相は、海洋資源開発を成長戦略の柱としたい考えで、中国の海洋進出に対抗して海底資源を確保する狙いもある。 海洋基本法では2008年に初めて策定した海洋基本計画の5年ごとの見直しを定めているため、政府は新たな計画を2013年3月中にも総合海洋政策本部(本部長・安倍首相)で決定する。

 -以上-
2013年2月23日
九州ホーム > 会員トピックス