中国は経済失速顕著2013年の経済成長率8%は困難の見込み。シャドウバンク(ヤミ金)退治で、現在景気失速中。 日本のTPP参加に中国の焦り-米国との2国間投資協定推進では米国に屈服-/ 第1次世界大戦前のヨーロッパ英独歴史デジャブ:アジア情勢に関する欧州の見方 (イギリスフィナンシャルタイムズより)
★中国経済に対して、経済成長率低下やバブル崩壊懸念が強まる。 2013年の中国GDPは7%を確保できるのか? 米国で失敗したサブプライムローン銀行(中国ではシャドウバンク:ヤミ金利銀行)問題を、中国の統制経済ならばうまく処理することができるか、興味津々だ

中国共産党中央、国務院の要求に基づいて、財政部は2013年6月に通知を出し、緊縮財政措置として2013年の歳出を5%削減するよう中央機関の各部門に要求した。 これは中国国際放送局が報じたものである。 その通知は、各部門による財政支出の管理強化や歳出構造の調整、経済構造の調整と産業のレベルアップのサポートのほか、民生の保障・改善に努め、限りある財政資金の使用効率を向上させるよう要求した。 なお2013年1月から5月までの5カ月間の中国の財政収入の成長率は、著しく減速して平均で6.6%の伸びにとどまり、目標の8.3%を大きく下回っている。
 この中国指導部の通知は、シャドウバンク問題などの懸念からこれまでの放漫財政支出を精査し直し、緊縮財政へ転換する意志を明確化したものである。 
この処置により、中国の2013年成長率が低下(GDP予測7.5%→6.8%程度)することは否めない。 以前は、中国では経済成長率が8%を切ると国内政治が保てないと言われていたものだが・・・・・・。 李克強首相は、「少なくとも2013年の成長率が7%を切ることは中国政府として容認しない」 と強調しているが、彼のリコノミクスがうまく行くかどうかお手並み拝見だ。 ともあれこの処置で、中国経済のハードランディング(すなわち深刻なバブル崩壊)だけは避けられる可能性が高くなった。

 さらに2013年6月25日に中国共産党中央宣伝部が国内メディアに対して、中国の金融市場に出回っている資金不足(シャドウバンク(一種のヤミ金)規制のため首相が中央銀行からの資金供給を絞ったために生じた事態だが、金融不安が囁かれたため現在は資金供給を元に戻している、および経済不調に関する報道を規制する通達を出していたことがわかった。 複数の中国メディア関係者が7月8日、明らかにした。 国民や市場の動揺を抑えるとともに、経済の先行き懸念が社会不安や当局批判につながることを警戒した措置とみられる。 この通達は6月25日付であった。
 中央宣伝部は全国の宣伝部門を通じ、
〈1〉市場での資金不足や株安の問題を大きく取り上げないこと。 〈2〉中国人民銀行(中央銀行)の政策を「肯定的かつ正確」に解説・報道すること。 をメディアに指示した。 中国では2013年の6月に入って、シャドウバンク短期金利の急上昇や、上海株式市場の株価急落などで市場が不安定化し、一部の銀行の経営不安を指摘する声まで上がっていた。 (2013年7月9日読売新聞より)

 また、レコードチャイナによると、2013年7月8日、中国株式市場は反落した。 これは、新規株式公開の再開観測があらためて強まったことが影響した。 これを銘柄別にみると、宇宙や非鉄金属、石炭、化学繊維、セメント関連銘柄の軟調が目立った。さらに、金や3D印刷関連銘柄など、全体的に軟調だった。上海指数は48.93ポイント(2.44%)下落し、1958.27ポイントとなり、再び2000を割り込んだ。取引成立額は670億元だった。  一方、深セン成分指数も218.96ポイント(2.79%)下落し、7637.63ポイントで取引を終えた。取引成立額は827億元だった。
 このような最中、中国の税関当局は7月10日、6月貿易統計で輸出が前年同月比3.1%減、輸入が同0.7%減となったことを受けて、同国は輸出と輸入の減少で深刻な試練に直面しているとの見解を示した。 輸出が減少するのは2012年1月以来1年5カ月ぶりだ。 欧州の景気低迷や日中対立のほか、香港経由輸出水増しが中国当局の取り締まりで激減したことが大きい。 しかし減速したとはいうものの、中国の6月の貿易収支としてはまだ271億ドルの黒字を保っているが・・・.。
 また中国国家統計局が7月15日発表した2013年4~6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比7.5%増にとどまった。伸び率は1~3月期の7.7%を下回り、2期続けて鈍化。景気減速が鮮明となった。2桁成長を誇った中国経済だが、5期連続の8%割れだ。1~6月は7.6%と、政府年間目標の7.5%を辛うじて上回った


 このところ、経済援助などで親中国だったモンゴル、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、サモア、ブータン、トンガなどがなぜか離反気味になっている。 最近親中国に舵を切った国は、対中国貿易黒字国の韓国くらいのものだ。 
 中国経済がバブル崩壊しハードランディングすれば世界不況に陥ると、欧州や米国はビクビクしている。中国の経済と政治の舵取りは、もはや中国国内だけの問題ではない。 幸か不幸か、中国は統制経済なので迅速に経済政策を調整しやすく、日本の1990年代からの経済失速なども詳しく研究しているので、中国経済がハードランディングすることはないが、今後10年間は内需主体の
4-7%程度の低成長を受け入れざるを得ない。 グローバル経済に参加して巨大に成長してきた中国経済は、今後は国際ルールに従って成長を維持してゆくしかない。 このことは、賢明な中国経済官僚達は良くご存じだろうが、世界を相手に軍拡競争を挑んでいる人民解放軍も願わくば経済官僚の半分くらいでも賢明であってくれればよいのだが・・・・。
 中国習政権を現状分析すると、2年前までの米国・中国G2論は影が薄くなり、現在では中国は、
(GDP世界一になるまでは)米国に楯突かないから海洋を含む経済発展の邪魔はしないで欲しいとの懇願調になってきている。その分、国内世論向けに尖閣問題では日本に絶対譲歩できないだろうが、この経済停滞で日本からの投資は絶対必要だ。特に地方政府は、国からの公共投資を削られて悲鳴を上げている状況だ。
 中国も現在は難しい局面で、20年くらいのうちに、GDPが世界一になるのと、中国共産党が変化するのと、どちらが早いかと言う状況だと拝察する。


ちなみに、過去10年間のアジアの貿易強国はアメリカよりも中国。対米依存度が強いのは日本、フィリピン、インド。
 2013年8月5日、台湾の中央通訊社によると、中国本土のアジア地域における影響力が米国を上回っていることが、英スタンダードチャータード銀行の調査で明らかになった。8月6日付で参考消息(電子版)が伝えた。
 調査は、香港や台湾、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、オーストラリアなどアジアの10の国と地域に対する過去10年間の米国と中国の経済的影響力について行われた。 その結果、中国本土のアジア地域における影響力が米国を上回っており、とりわけ東北アジアで顕著だということが明らかになった。 中国本土の影響力が最も大きいのは香港で、次いでシンガポール、台湾、韓国、オーストラリアの順に続く。 近年は特にシンガポール、香港、台湾、韓国に対する影響力が高まっている。 台湾の輸出を例に見ると、2005年の米国への輸出は15%、中国本土への輸出は22%だったが、2012年には米国への輸出は12%に減り、中国本土への輸出は27%に増えた。
 さらに直近の2012年の状況を分析すると、10の国と地域のうち、8の国と地域で対中国貿易額が対米貿易額を上回っており、対米貿易額が優勢だったのはフィリピンとインドのみだった。 調査対象外だが日本も近年は対米貿易依存度が高い。 

 ちなみに各国に対する日本の貿易黒字と赤字は以下の通りであり、2012年には対中国の貿易黒字はすでに無く貿易依存度は大幅に低減している。
2010年は
 米国4.4兆円 >中国(香港含む)3.3兆 >韓国3.0兆 >台湾2.6兆 >EU全体1.3兆 >インドネシア1.1兆 貿易黒字 
 サウジ2.6兆円 >豪州2.5兆 >アラブ首長国1.9兆  の貿易赤字

2012年は
 米国5.1兆円 >台湾1.8兆 >韓国1.7兆 >タイ1.6兆  貿易黒字。 
 サウジ3.8兆円>豪州3.0兆>アラブ首長国2.8兆>マレーシア1.2兆>インドネシア1.0兆>中国(香港含む)0.4兆>EU全体0.1兆円 の貿易赤字


中国ウルトラ右翼新聞社「環球時報」編集長への毎日新聞インタビュー2013年7月11日: 「我々は日本との友好を求めているのだ。決して対立をあおる報道はしていない」
 
中国共産党機関紙「人民日報」系の国際情報紙「環球時報」の胡錫進(こ・しゃくしん)編集長(53)が、北京市内で毎日新聞のインタビューに応じた。胡氏は沖縄県・尖閣諸島を巡る問題などで日中関係が冷え込んでいる現状について、「直接率直に意見交換し、双方の妥協点を探るべきだ」、と語り、外交当局間で続けられている日中戦略対話の閣僚級への格上げを提起した。
 環球時報は日本に厳しい論調を掲載することで知られており、編集長の胡氏は、中国の対日世論形成に強い影響力を持っている。7月11日、インタビューに応じた胡氏は、「中国の経済成長や大国化に伴い近年、日本に対する読者の関心が相対的に減る一方、主権問題や首相の頻繁な交代など日本の政治問題への関心が一層大きくなっている」、と説明。その上で、「平和な関係を築くには、一方だけでなく両国が共同で責任を負わなくてはならない。対話の枠組みを米中戦略・経済対話のように格上げし、出席者が包み隠すことなく対話すべきだ」、と訴えた。また、胡氏は同紙が日本をけん制する記事を掲載する理由について、「日本が主権や歴史問題などで挑発的な措置を取れば報復すべきだと指摘しているが、過度な報復は主張していない。 我々は日本との友好的な関係を求めており、決して対立をあおる報道はしていない」、と反論した。
 さらに日本について「経済的に長年停滞が続いているが、発展レベルはアジアで最も高い国であることは間違いない。我々は真実を伝える方針を掲げ、日本の優れた企業や先端技術、文化を中国に伝える努力をしてきた」、と述べ、日本との対立の激化を望まない立場を強調した。
(毎日2013.7.16より)
-環球時報による中国人3万人アンケート結果- 
2013年7月9日、日本の平成25年版防衛白書が発表された。この中で、中国が尖閣諸島などの領有権問題に絡んで日本への挑発を繰り返していることが批判され、さらに初めて「日本独自の軍事力の発展」が打ち出されたことで、中国で波紋が広がっている。中国国防部の耿雁生(ゴン・イエンション)報道官は11日、「中国軍事脅威論を煽り立てて中国と周辺国との関係を挑発している。中国軍は強い不満と断固たる反対を表明する」と発言し、日本側への抗議を明らかにした。
 そこで、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報(電子版)は、7月10日付で読者アンケートを実施。「中国側の視点に立って、あなたの心に日本はどう映りますか?」との質問を投げかけ、16日午後2時時点で2万5256人の回答を集めた。うち、95%にあたる2万4070人が「依然として中国の強敵である」と回答し、残りの5%にあたる1186人が「すでに脅威ではない」と回答した。以下、回答欄に寄せられた具体的な意見は、日本の背後にある米国への恐れや、自国の後れに対する不安を示している。 
(私のコメント: 環球時報などイエローペーパーの記事を見ると、中国は横暴で非理性的でどうしようもなく見えて、もう二度とおつきあいは遠慮したい国だが、アンケートの個々の中国人の意見を見ると幅が広い。 むしろ今は、日本国民全体の嫌中意識の高まりの方が、中国にとっても危険かも知れない。)
 「日本は米国の鏡であり、腹黒い国家である。あんな小国なのに毎年の軍事費は数百億ドルにのぼっている。中国政府は真剣にこの問題に臨まないとならない」、 「中国に対抗するために米国に飼われた最も凶暴な犬。飼い主の権力をかさに着て狂ったように吠える犬。中国は早晩、この犬にかまれてけがをするか死ぬかするだろう。ネズミ取りをしかけても、その背後には中国の恐れるご主人様―米国―が立っている」、 「日本の軍国主義復活、これは米国も含めた全世界にとって最大の脅威である」、 「日本は我々民族にとって目下最大の敵であるが、その前にまず、我々は自らの問題を冷静に考えてみよう。そして、日本と比較してみよう。汚職にまみれた官僚や、薄汚いビジネスの世界。我々は人として本分を守り、まじめに生きているだろうか? 我々は互いに尊重し、愛し合って生きているのか?我々の民族的プライドはどこに起源するものなのだろうか?熱くたぎる血潮以外に、何をもって敵に打ち勝つのか?領土を守る以外に、我々が守るべきものは何だろう?」、 「日本はアジアの脅威であり、米国は世界の脅威。世界中の誰もが知っていることだ。そして現在の中国は経済・軍事・国民教育、何をもっても日本に劣る! さらに致命的なのは、日本は好循環の中で発展を続けているが、中国の成長は悪循環にとりつかれていることだ」  -以上-

ところで、
 2013年7月頭に米中大人数で行われた米中戦略経済対話では何の成果も無かったと思っていたら、閉幕後に大きいニュースが飛び込んできた。 日本のマスコミはあまり報道していないが、米中は2国間投資協定を推進することで一致したと、両国が発表したのだ。 実はこのアメリカとの2国間投資協定は、5年前には、「中国は、米国に良いようにやられた日本の轍は踏まないぞ」、と嫌がっていた内容だが、とうとう最大の輸出先お得意様である米国に屈服したのだ。 経済成長率が鈍化してもはや外国投資を呼び込めなくなった中国は、共産党政治よりも経済成長を重視せざるを得なかったのだろう。 中国はどこかの国とは違って、一旦約束したら律儀に守る国だ。 協議決着までには時間がかかるかも知れないが、今後は米国主導で2国間投資協定の協議は着実に進められるだろう。 これまでは中国は競争力を武器にしてWTO参加国であるにもかかわらず自分のやり方を世界中で押し通してきたが、これからは少なくとも経済面では国際慣例に近づいてゆく。 「今は米国と協調して力をためておくが、20年後にGDP世界一を実現したあとには・・・・」、と中国はしたたかに考えているのだろう。 
 安倍政権のTPP参加決定が、経済不況の中国を焦らせてこの動きを誘発した可能性が高いと思う。 日本の国内農業や企業の保護は課題だろうが、それは国内政治問題に過ぎない。 経済のグローバル化は否応なく全世界に津波のように押し寄せている。中国でさえもその波に呑まれかけており、その中で有利な立ち位置を探っているところだ。 日本も、これから世界経済の中でどのような戦略をとってゆくべきかを真剣に考えなければいけない。 国内企業保護などよりも、日本もこれからはソフトバンクのように米国企業を買収して、その子会社から中国に輸出や買収攻勢をかける手法が有効になるのかも知れない。

 「以下に記事を引用する」
 米中両政府は閉幕した戦略・経済対話で、2国間の投資協定の締結に向けた協議を本格化させることで合意した。また、中国の金融システムなど構造改革を進め、世界1、2位の経済大国が協力して持続的な経済成長を目指すことでも一致した。 ブッシュ前政権時に開始された両国の投資協定交渉は停滞が続いてきたが、ルー財務長官は7月11日、「中国はすべての分野を対象にした高い基準の貿易協定について交渉の意思を示した」と表明した。 「中国がこのような合意を他国とするのは初めてで、非常に大きな進展だ」、と評価した。 一方、中国の汪洋副首相は「米国は中国からの投資を歓迎し、平等・公平に扱うことを約束した」とし、中国企業などの米国への投資拡大に期待を示した。 また、米側は中国に対し人民元相場の柔軟化を更に進めるよう要望した。 中国側は為替相場や金融システムなどで改革を進める姿勢を示し、米国に対しては財政健全化などの取り組みを要請した。 また中国は、米国産シェールガスについて米政府の輸出認可を求めた

さらに、2013年7月30日、習主席の興味ある発表があった。 「海洋における核心的利益は絶対に譲らないが、領有問題を棚上げして、相互の国に利益ある共同開発も考えるべきだ」 との趣旨の習発言である。 日本では、「中国は領有権を絶対に譲らない」と強調して報道したマスコミが多かったが、私にとっては「領土は棚上げして共同開発もある」、の方に目新しさを感じた。 習主席が公の場で発言した初めての例である。これは日中首脳の話し合いの糸口になるかも知れないと私は思う。 以下に記事を貼り付けておく。
 中国の習近平国家主席(中国共産党総書記)が2013年7月30日に開催された中国共産党政治局の学習会で、海洋における領有権の問題について「『主権はわれにあるが、争議は棚上げにして共同開発をする』方針を堅持する」と述べたことが分かった。 中国新聞社など中国メディアなどが7月1日付で報じた。 中国共産党政治局が6月30日午後に開催した「海洋強国建設」をテーマとする第8回学習会での発言である。
 習主席は、その席で「海洋資源の開発能力の向上や海洋における生態環境の保護に中国は全力で取り組まねばならない」、と述べた。また、国としての海洋権益の維持については、「われわれは平和を愛し平和の道を歩んで発展することを堅持するが、正当な権利を放棄したり、ましてや国家の核心的利益を犠牲にすることは絶対にできない」、 とまず主張した。その一方で、紛争については、「『主権はわれにあるが、争議は棚上げにして共同開発をする』方針を堅持する」、と述べた上で、「双方に利益がある友好的な協力を推進し、ともに利益を上げられる合意点を追及し、拡大する」、と主張した。



-中国裁判関係-
 また、中国上海で中国人従業員に企業秘密を盗まれて大損害を受けた日系企業の刑事告訴が認められたことが分かった。 中国国内の領収書・伝票印刷で約6割のシェアを持つ上海の日系印刷機製造会社が、中国人従業員に印刷機の設計図を無断でコピーされ、そのことが同社と同じ印刷機を偽造・販売する会社の設立につながったとして、元中国人従業員に対して有罪判決が下ったことが、2013年8月8日に分かった。 主犯の男は13年3月に商業秘密侵犯罪で実刑判決が確定した。 同社は2011年に上海市公安(警察)当局に刑事告訴し、公安当局が中国人元従業員4人を逮捕していた。 この損害額は2000万元(約3億2000万円)以上と認定された。 日系企業が中国で商業秘密を漏えいされたとして中国当局に告訴し、有罪判決が下った初のケースとみられる。 

 さらに、2008年に河北省石家荘市の天洋食品工場で起こった毒入り餃子事件についても、中国当局は毒は日本で混入されたものとして認めていなかったが、2013年7月に入ってから拘束していた容疑者の裁判を開始した。公判には日本マスコミも2名に限り傍聴できるという。 何で今頃になってと云う気もするが、まあ、対馬の仏像を返さない韓国の裁判所よりも幾分かはまともと言うべきか。 
 最近、中国経済が困難になっているため、海外、特に日本からの投資を呼び込みたいのであろう。 中国当局は尖閣問題で決定的に悪化した日中和解のための条件を整えている感触があり、さらなる問題が勃発しない限り日中首脳会談の時期は今年の11-12月が有力と私は予想している。   -以上-


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★★★2013年7月12日付の英国フィナンシャル・タイムズによるアジア情勢の論説記事(100年前の欧州歴史を回顧する)★★★
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  アジアには大きな疑問が1つある。この疑問は東京や北京、ニューデリー、ソウルで良く囁かれているし、これらの国々の間に存在する大半の国でも聞かれる事が多い。 バラク・オバマ大統領のいわゆるアジアへのピボット(旋回)は結構だが、中長期的に見た場合、米国にはアジアにとどまる力が本当にあるのか――という疑問だ。 これに対する確実な答えは誰も持っていないが、それで臆測がやむわけではない。 確実なことが存在しない場合には、認識は確かな証拠と同じくらい意味を持つ。米国が太平洋に常駐する大国としてどれくらい長く地域にとどまるかという計算は、この地域のほぼすべての政府の行動を決める。 北京の密室では、今後数十年にわたる米国のアジアピボットの行方について、どこよりも活発に議論されている。

■米国の状態に左右される各国の行動
 中国は、どれほど早くどれほど遠くまで自国の勢力を拡大できるかを、経済大国になった現在試している最中だ。 日本は、その中国を押し返す時に米国政府を頼りにできるかどうか値踏みしている。頼りにできなければどうするかだ(核兵器を持つ?そこまでは云わないだろうが日本は核兵器廃絶国際署名をしていないことも事実だ)。 韓国、ベトナム、フィリピンなどは、問題点ごとに、中国と何とかして対抗するか、中国の勢いに便乗するかを決めなければならない。 インドも人口世界一を目前にして、長年無視されてきた東アジアとの絆を再発見しようとしている。 事態を複雑にするのは、米国の「とどまる力」に関する問いの答えがめまぐるしく変わることだ。 2012年冬、米国は衰退する超大国のように見えた。 ぐらつく弱い経済、持続不能な債務と財政赤字そして政治の膠着状態が、米国の回復力に疑問を投げかけていた。 中国が近く米国を抜いて世界最大の経済大国になるとの予想も、アジア諸国の疑念を膨らませた。 米国自身の政治的軍事的決意について言えば、イラン、イラクとアフガニスタン、シリア、パレスチナ、イスラエルなどの中東の重大懸念に奪われて膠着してしまっていた。 各国政府は、こうした状況を見ながらそれぞれの解析結果に応じて行動した。

■中国と領有権問題を抱える周辺国
  筆者は、安倍晋三首相率いる日本政府の高官と、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る東シナ海での日中対立について話したことを覚えている。 この高官の話では、安倍首相は、南シナ海におけるフィリピンと中国の対立の際に、米国は米基地を撤去したフィリピンを支持しなかったことを見届けた。 フィリピン政府はこのようにして見捨てられてしまったが、日本は同じ過ちを犯さない。 日本としては米国との軍事同盟を強化しつつ、中国の侵入に対しては、まずは自国の海上保安庁さらには海軍(自衛隊)で反撃して収束を図る。 もしも、紛争が拡大し収拾不能になれば日米安保条約発動により米軍が参加する。 安倍首相は中国との対話を呼びかけながらも、日本の軍事予算に対する憲法上の制約についても緩めたいとしている。
 「コメント」: 経済面に関しても、日本の対中国(香港も含む)貿易が全貿易量に占める割合は2010年に25%もあったが、2012年には20%まで低下した。 さらに2010年に3兆円もあった対中貿易収支黒字も2012年には無くなってしまい、むしろ対中貿易収支は日本の赤字となっている。 このように、日本の中国に対する直接貿易依存度は急速に軽減されて適正なものとなった。 しかしASEAN等を経由する間接的な中国との貿易や、アベノミックスの効果もあってか2013年の日本経済成長率は先進国G7中トップと予測されている。 安倍政権が国内の反対を押し切って中国外しのTPPに参加したのも中国包囲網の戦略の一環だが、一方で、日本はRCEP(ASEAN東アジア経済協力協定)やさらには日中韓FTAにも参加の余地を残している(もっとも、TPPの決着が見えない限り、日本はこれらの協定では積極的には交渉を進めないだろうが)

 両面作戦を取っているのは、日本だけではない。 韓国の朴大統領はこのたび中国に軍事・経済両面で大接近したが、その前に米国に安全保障を確認することは忘れなかった。 しかし、在韓米軍の削減や有事統帥権移管時期は2015年に迫っている。 朴大統領は対抗策として自前の軍備増強を考えているのだろうか。 もしも朴氏が真実したたかであればむしろ米国との軍事同盟のさらなる深化も密かに考えていることだろう。それとも敵視している日本国の憲法第九条を韓国でも採用するつもりなのか?
 遅ればせながらフィリピンも、大規模な米海軍基地を国内に作ることを考えている。 財政の崖にある米国にとっては軍事同盟を要望されることは心地よい。相手側がより多くの軍事予算を負担してくれるだろうからだ。
 また、先日、筆者は「ストックホルム・チャイナ・フォーラム」に参加した。ジャーマン・マーシャル・ファンドの主催で欧米人と中国人が集まる年次会合だ。 スウェーデン人の主催者の1人は会議の席上、バルト海に参加者の注意を向けた。彼いわく、バルト海では、ベトナム海軍が新しいロシア製潜水艦を試験運航している。 ベトナム政府はロシアと組んで、ロシアから潜水艦を6隻購入し、また巡航ミサイルも買っている。 こうした潜水艦は、遠からずベトナム湾を拠点として南シナ海の海中を潜航するようになる。ベトナムもまた中国と西沙諸島の紛争を抱えているからだ。

■経済的なサイクルは急に変わる
 だが、地政学においては、6ヶ月は長い。現在、米国経済は好転しており、成長が戻ってきた。政治の膠着状態は、赤字問題に一定の解決策を見いだしたようだ。経済情勢が明るくなるにつれ、経済評論家たちは米国が生来持つ大きな優位性を再発見している。有利な地形と人口動態、技術的な優位性、そしてシェールオイルとシェールガスの莫大な資源といったものだ。
 一方、この6ヶ月で中国の状況は悪化した。信用逼迫により、経済成長に関する疑問が生じ、約束された台頭はもはやそれほど楽に見えなくなった。成長率は2013年、目標の7.5%を割り込む可能性が高そうだ。これは中国にとっても世界にとっても安心できる成長率ではない。 習近平国家主席は就任からまだ日が浅いが、突如として、チャンスよりも多くのピンチに見舞われているように見える。

現実の世界では、そうした循環的な急転換は避けられない。米国の末期的衰退を唱えた昨年の予想はそもそも信ぴょう性がなかったし、「中国が世界を支配する」と叫ぶ連中は、えてして歴史は一直線では進まないということを忘れている。 現在は恐らく、中国の問題に取り組む習主席より、米国の問題に取り組むオバマ大統領の方が気分は楽だろうが、有利な立場はすぐに逆転する可能性がある。 米国の対中政策は、関与し、リスクをヘッジするというものだ。避けられない競争が敵対に発展するのを防ぐために中国に関与する一方、自国の力を維持するとともに米国の同盟関係を強化することで、中国の強硬姿勢に対する防衛策を講じるのだ。 中国の隣国の大半は、同じようなアプローチを取り、中国との経済的統合と米国との政治的関係および場合によっては軍事的関係を組み合わせている。ベトナムの場合は、ここにロシアも加わる。

■米国の存在が生む矛盾
 さて、ここに不条理な問題が潜んでいる。 均衡を図る戦略がうまくいくのは、中国の近隣諸国が、米国が長期にわたり地域に存在し続けることを確信している場合に限られる。 だが、その一方で、米国政府の真意が説得力を持てば持つほど日本のような同盟国にとっては、中国と強硬に対峙する自由裁量を得たと考える可能性が高まるだろう。 米国は、中国に対する継続的な経済利益が最大になるようにしたいだけで、中国との軍事衝突などまっぴらご免なのに・・・・。
 米国は、安倍首相の強硬な国家主義は米国の利益を損なうとして、はっきりと神経をとがらせるようになった。 しかしさらに米国にとって困ったことは、日本に対する中国の挑発行動も日本と同じくらいしたたかであり、米国の真意がどうなのかを試すべく計算しつくされていることだ。 米国は、老妻と奔放な若い愛人との間で、問い詰められている男のようなものだ。 このような状況では、男にとって望ましくない不慮の衝突が生じやすい。

 ともあれ、米国はあと何十年もアジア常駐の大国であり続ける経済力と軍事力を持っている事が、徐々に明らかになってきた。 戦略的経済利益の観点からして、米国はアジアから身を引くには利害があまりに大きすぎる。 だが中国は軍備を増強しており、それに応じてアジア太平洋地域で自分に有利な様々な条件を定められるようになってくる。
 習主席は実際、オバマ大統領との会談で、米中の二大国だけで太平洋を分け合ってはどうかとまで言ってのけた。オバマ大統領はこの提案を即座に否定したが、この矛盾した状況をうまく管理する魔法の杖などは存在しない。 米国がアジアから去ればそれは米国が世界のリーダーから降りる事を意味し、全世界の軍事・経済の混乱事態を招く。 とどまれば中国の大きな反感を買い、米国の経済利益のいくばくかは損なわれるだろう。 米国のアジアでのプレゼンスは危険なバランスではあるが、必然のものとならざるを得ない。すなわち米国のプレゼンスは欠くことのできない安定の源だが、恐らくは対立の源でもあるのだ。

実は、我々欧州人は、軍事的に台頭する新興国に対抗するこのような状況がどこに行き着く可能性があるのかについて、既視感がある。 海洋大国であった英国は、大陸国家として軍事的に台頭しさらには海洋強国をも目指し始めたドイツに対抗するべく、海外勢力のまとめ役を担った歴史がある。 来年2014年は、その海洋大国英国と大陸強国ドイツの対峙における不安定なバランスがとうとう崩れてしまい、大虐殺・第一次世界戦争になだれ込んでから、ちょうど100年目を迎える年なのだ。 このヨーロッパ歴史の不幸な前例を知る我々にとっては、日本と中国の軍事的緊張は今後のアジアや世界についての不安を抱かせる。
 日本と中国それに米国は、1世紀前のヨーロッパでの歴史の教訓を生かして、事態が燃え出す前に賢明に対処して欲しい。 我々から見れば、まだ東アジアは宗教が絡んでいないだけマシなのだ。
   -以上-

2013年7月20日
九州ホーム