東京オリンピック招致決定/シリアへ問題とオバマのレームダック化/中国経済動向と尖閣日中問題の状況/ハリー・デント氏の韓国経済解説。

★シリア軍事介入とオバマ大統領のレームダック化★
 シリア政府軍の化学兵器使用疑惑に対して、米国のオバマ大統領は安保理事会の決議が無くてもシリアへ軍事介入すると宣言した。 しかし、シリア反政府軍はアルカイダなどのイスラム原理主義者が主力だ。 サウジアラビアもイスラエルも、シリア政府が崩壊してイスラム原理主義者達が勢いづくのは困ると本音では思っている。
 先年のアラブの春では、米国は市民運動を支援してエジプトの民主化が行われたが、何のことはない、その後にイスラム同胞団がエジプトを牛耳り始めたので、とうとうエジプト市民と軍によるクーデターが起き、イスラム同胞団の大統領は政権の座から引きずり落ろされた。 この事態に人権民主派の米国オバマ大統領は、さてどう対応したものかととまどっているところだ。 これまでは、中東地域は産油国として重要だったが、米国が中東の民主化を支援すればするほど、結果としてイスラム過激勢力に肩入れすることになった。 米兵を犠牲にした軍事介入後も、中東は安定せず、米国は何ら経済利益を得られなかった。 今や米国はシェールガスでエネルギーを自給できることになり、もはや民主化や人道主義だけでは、米国民は産油国の政治に介入したがらない。 イランの核兵器疑惑についても、米国の軍事介入意欲は薄らいでいる。

 そういうさなかにシリアの化学兵器使用疑惑が起きて、これは人道に反するとの訴えでオバマ大統領はは軍事介入を宣言した。 しかし、この介入はシリア政府打倒が目的ではないなどと曖昧な主張をしたのはまずかった。 国連安保理でリーダーシップを発揮して世界各国から軍事介入の賛同を得ようとし、またG20にも訴えたが、シリア政府と関係の深いロシアの強硬な反対に遭って国連理事会の承認を得ることはできず、友軍としてもっとも頼りとする英国の参加も期待できず、賛成なのはシリア旧主国のフランスくらいしかなかった。
 ここでオバマ大統領は、軍事介入に米国議会の承認を取るなどと、さらに優柔不断な方針を打ち出してしまった。 これは、米国大統領とは軍事面の全ての権限と責任を持つものだと考えている米国民の考え方と異なる。
 結局はロシアの仲裁で、シリアは全ての化学兵器を国連管理にゆだね、米軍介入は見送ることになりそうだが、これでオバマ大統領の面目は丸潰れになった。今後の3年間はおそらくレームダック大統領として過ごすしかないだろう。
 一体どうしてこのようなことになったのか? 以前にオバマ大統領は、米国は世界の警察ではないと言っていたではないか。 政権のどの勢力がオバマ大統領にシリア問題を焚きつけて軍事介入宣言させたのか、興味があるところだ。 もしも焚きつけたのが軍部だったら、優柔不断な人道主義者のオバマにうんざりしていることだろう。 ブッシュはやり過ぎだったが、米国大統領たるもの、一度口に出したことは何が何でも実行すべきで、失敗したときには辞任するものと考えている米国民は多い。 もはや米国は、民主党好みの人道主義や民主化のために他国に軍事介入する余力はなくなったと見るべきだ
(米国の経済的利益確保のための軍事圧力はあるだろうが・・・・)

 さて、今後の世界情勢である。 今イスラエルはパレスチナと平和協議の最中である。その協議の中で米国は力を発揮できていない、むしろ外されているとの情報がある。 イスラエルは、むしろ人道的にうるさい米国を外して直接パレスチナと交渉して、有利に事を運ぼうという作戦のようだ。 イスラエルは、時間が経てば経つほど回りの国々のイスラム勢力が強くなり、米国オバマ政権もイラン封じ込めから後退して情勢が不利になるので、今がパレスチナ問題を有利な条件で解決する最後のチャンスと思っている節がある。 そのためパレスチナに譲歩するところは譲歩して、今年中にパレスチナとの和平をまとめ上げるかも知れない。
 イランは大統領も柔軟派に替わったし、もはや米国やイスラエルによる軍事介入は無いと考えているだろうし、それは正しい見方だと思う。 北朝鮮も、シリアの化学兵器疑惑にさえも米国が軍事介入に失敗したことで、まずは一安心と思っているだろう。 そろそろ韓国威圧のために核実験を再開するかも知れない。 アジア情勢については、今回の件でのオバマ大統領のレームダック化がどのように影響してくるかが興味あるところだ。 アジアでの米国は、中国やASEAN諸国の経済成長の利益取り込みの方が喫緊の課題であって、北朝鮮や東シナ海、南シナ海の問題については、軍事行使せずに済むほどほどの緊張状態が米国にとっては心地よいと思っていることだろう。
 
米でのシェールガス採掘で、中東は米国にとって重要性が低下している。 米国と腐れ縁のあるイスラエルはパレスチナ問題をそろそろ自力解決するだろうし、もう米国が中東に精力を傾けることは激減するだろう。 一方、アジアは世界の経済成長の源だから、アジアでの経済利益を確保するために、米国のアジア旋回はますます急になるものと思われる。 米国の経済利権を阻害する障壁があれば、米国はアジア各国に軍事介入する意志も見せつける必要がある。 韓国の中国接近に対しても、これまでのように穏やかになれず、在韓米軍の撤退問題に何らかの影響があるかも知れない。 アジアでは経済利権のための軍事介入はやぶへびになりやすいので、米国は軍事力を中国に対して見せつけるだけになろうが。 ひょっとすると、オバマ大統領はシリアでの失策を挽回するために、あるいは軍部に突き上げられて、アジアでは対中国軍事強硬策を打ち出すかも知れない。 それもまた、日本にとっては迷惑なことだが・・・・・・。 
 
日中間の尖閣問題では、「尖閣を日本が実効支配している限りは、中国の侵入に対しては日米安保条約を発動させる」、と何度も米国から言質を取っている。 そのため中国は、日本の実効支配すなわち施政権を崩そうと、尖閣領海に頻繁に監視船を侵入させさらには無人飛行機の尖閣投入まで試みている。 万が一、中国が漁民を大挙尖閣諸島に上陸させようとした場合などには、当然日本は独力で海上保安庁や自衛隊が断固上陸阻止しなければならない。さらに無人機による領空侵犯に対しても、撃墜など断固対応しなくてはならない。 その後いよいよ紛争が拡大して収拾がつかなくなったら、日米安保条約発動で東シナ海に米空母出動することはしごく当たり前だ。中国無人機による尖閣領空侵犯の日常化は、日本の施政権を揺るがしかねない。 一番いけないのは、民主党政権時代の菅、仙谷氏が衝突船長事件で行ったように、中国や韓国がごり押しすれば、日本は法律を曲げてでも迎合してくる国だと思わせることだ。
 
オバマ大統領も、一旦口にしたあとでの優柔不断は今後は止めることだ。米国は世界の警察官ではなくなったとオバマ大統領は言ったが、少なくとも軍事同盟国に対してはきっちりと軍事遂行して貰わなければ同盟を結ぶ国が居なくなる。 日米安保条約についても、何のために日本は高い金を払って日米軍事同盟を結んでいるのか、と言うことになる。 はっきり言えば、「米国は尖閣領有権に対しては中立だが、日本の施政権下にあることで安保発動の範囲内」 などと優柔不断に終始せず、「日本の現状の実効支配を変更しようとする中国のいかなる挑発にも、米国は断固反対する」 くらいのことは言い切って強い大統領の姿勢を示さないと、ますますレームダック化が進行すると思う。

 いずれにしても今回のシリアの件で、アメリカは日本の価値を再認識したに違いない。 世界広しと言えども、経済的に米国に貢献してくれて、しかもTPPその他アメリカの方針に従順なのは日本くらいしかない。いまや日本はアメリカにとって世界でも最も重要な、いわばトップ1の同盟国になっているのだ。アメリカがアジア重視を謳っても、非民主国家の中国と対峙する以上は日本を通じてしかアメリカはアジアに介入できない。 そういえば日本のTPP参加が決まってからは、中国や韓国までもがTPP参加を検討したいと言っているそうじゃないか。 これらの国のTPPへの参加は、結局は無理だろうけれど・・・・・。 そういえば、台湾だってTPPに参加したいんじゃないかな。
 オバマがレームダック化を食い止めるにjは、12ヶ国でのTPP協議を今年内に締結してみせることしかなくなった。 日本としては、これからは米国に従順に従うだけでなく、TPPとともに日中韓FTAやRCEP参加も検討して、米国と中国を天秤にかけるくらいのしたたかな経済戦略を持っても良いのではないか。粗末に扱って日本が米国離れすれば、米国は困ったことになるよと・・・・。
TPPで、米国は国内自動車業界や衣料業界を保護して、農産物輸出は促進しようとしているが、そのような都合の良いことだけを考えず、シェールオイルを安価にどんどん日本にも輸出してくれれば、米国の対日貿易赤字も減ってウィン−ウィンの関係になれるのに。 

 ところで、今度は米国議会は「財政の崖」問題で揉めている。 財政再建をどうするかという問題で、共和党が米国議会をストライキ・サボタージュしているのだ。 そのため、米国の公共施設の閉鎖と公務員の自宅待機まで起きてしまったし、米国経済の将来を危惧して世界中の株価も下がってしまった。 米国は、世界の安全保障だけでなく世界経済に対しても責任を負っているという自覚が全くないのだ。 今回の茶番劇で、米国議会の信任は国際的にも国内的にも失墜した。米国で得をしたものは誰もいないが、なかでも共和党の打撃は大きい。 来年2月に再び米国の財政の崖がやってくるが、共和党強硬派も今回の失敗から立ち上がって再度反攻する気力はもうないだろう。 それどころか、3年後の大統領選挙でも共和党は惨敗するに違いない。 今回の共和党の愚行により、次期大統領には、民主党のヒラリー・クリントンが就任する可能性が大きくなったことは確かだ。


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★★★世界経済動向(
中国韓国の経済政治状況)★★★

 中国紙『大紀元』(2013年9月9日付け)は次のように伝えた。
 米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、9月3日に発表した『中国50大銀行に関する報告書』で、中国の銀行セクターは、『輸出低迷』、『過剰生産能力』、『地方政府負債問題』の3つのリスクが目前に迫っていると警告した。 報告書では、中国銀行セクターは今後2〜3年の内に、これら3つのリスク拡大により不良債権が急増する恐れがあるとした。 これらは銀行セクターの信用評価に極めて大きな圧力をもたらしており、信用格付けを引き下げる。 不良債権の急増により、一部の中小金融機関は破たんに追い込まれるため、今後の中国では銀行および金融機関の業界再編が避けられないばかりか、再編は加速するだろうと予測した。
 李克強首相は、世界中で大きなうねりを見せる「中国経済警戒論」に対して、英経済紙『フィナンシャル・タイムズ』(アジア版9月9日付)に寄稿した。 中国首相が海外メディアに寄稿するのは珍しいことである。 それだけ、事態が逼迫化していることだ。 その寄稿では、「中国経済は持続的で健康な発展を続け、改革開放の道を歩み続ける。 今年の成長率は7・5%前後となるが、これは自然な経済(原理)と政策調整の結果だ。 中国経済はハードランディングはしない」 と主張した。
 これまで中国経済について比較的楽観論の立場を取ってきた英経済誌『エコノミスト』が、論調を一変させて警戒論に立つようになっている。 『フィナンシャル・タイムズ』紙は早くから警戒論であったが、これで、世界二大経済ジャーナリズムがそろって中国経済警戒論で歩調を合わせた。
 中国金融業界の再編は避けられそうにないが、それが原因で日本の失われた20年の二の舞を避けることができるかどうかが、李首相の腕の見せ所であろう。


−−−−−−−−−−「尖閣問題関連の近況」−−−−−−−−−
 沖縄県・尖閣諸島の領有権をめぐり日中が対立している問題で、日本政府が2013年6月に中国政府に対し、「領土問題の存在は認めないが、外交問題として扱い、中国が領有権を主張することは妨げない」、との打開案を提示していたことが2013年7月8日、分かった。複数の日中関係筋が明らかにした。2012年9月の尖閣国有化後、「日本が領土問題の存在を認める」、ことを首脳会談の条件としてきた中国側に対する「日本側の回答」の形だが、“満額”ではないため、受け入れられるかどうかは未知数だ。 打開案は先月日本政府の意向で訪中した谷内正太郎内閣官房参与が示したとされる。領土問題を日中関係の障害となっている「外交問題」として扱うことで、事態の沈静化を図るのが日本側の狙いだ。 最近になり、バブル破裂懸念と経済低迷による企業倒産が顕著化して、対応に悩んでいる中国政府だが、7月の参議院選で圧勝が予測されている安倍政権との対立姿勢をどこまで和らげることができるか、注目される。 
(2013年7月8日共同通信より)


人民日報コラム、日中関係改善呼びかけ 2013.9.20

 中国共産党機関紙、人民日報(海外版)の電子版は9月20日までに、民間交流をベースに日中関係の改善を呼びかける署名コラムを掲載した。「中日の国民感情を袋小路に追い込むな」 と題する高望氏のコラムは、「日本の対中円借款や天安門事件後の制裁解除などを評価した上で、日中の国民感情が急速に悪化した現状を反省すべき」 だと指摘し、両国のマスコミ報道が互いにナショナリズムを刺激してきたとして、「関係改善に向けた政策の選択肢を確保するため、お互いの過剰な報道の抑制」を訴えた。

中国・王毅外相、論文で「日中、対話で解決」を強調 2013.9.25
 9月半ばに東京・星陵会館で「現下の難局を乗り越えて〜日中が信頼関係を乗り越えて」をテーマにした国際シンポジウムが開かれた。 日中双方が尖閣諸島問題をめぐって、侃々諤々の議論を展開したのだが、その中で中国側が 「ぜひ読んでほしい」 と取り上げたのが、人民日報に掲載された王毅外相の対話解決を強調した論文だった。  この国際シンポジウムは、日中関係学会(会長:宮本雄二元駐中国大使)が主催したもので、中国からは中日関係史学会の代表団(団長:王泰平元中国駐大阪・札幌総領事)8人が共催の形で参加した。 日中両国の首脳対話が思うようにいかず、民間交流も多くが延期・中止となっている中で、日中関係者が膝を交えて議論し合う数少ない機会となった。
 
尖閣諸島の領有権をめぐっては日中間の主張が対立したままだったが、特に目立ったのは中国側が「和すれば共に利あり、争えば共に傷つく」として、現状の打開を訴えたことだった。
  まず王泰平氏が取り上げたのが、7月30日に中国共産党の習近平総書記が海洋建設の推進について語った「主権属我、擱置争議、共同開発」
(主権はわが国に属するが、争いを棚上げて共同開発する)の12文字である。 この方針が領有権紛争についての最新の方針との説明があった。
 もう一つ、シンポジウムの総括を行った馮昭奎氏(中国社会科学院栄誉学部委員)が、「ぜひ読んでほしい」と取り上げたのが王毅外相の最近発表した論文だった。 日本のメディアではどこも取り上げていないようなので、ネットで探してみると、確かに9月10日配信で、「堅持正確義利観、積極発揮負責任大国作用」 と題した論文があった。

 王毅氏が外相に就任してからほぼ半年経つが、これまでは控えめな姿勢に終始してきた。 とりわけ日中問題については、駐日大使などを歴任した日本通なだけに、かえって発言を控えてきた経緯がある。 今回のようなまとまった論文は外相就任以来、初めてといえる。  この論文ではあえて尖閣諸島の言葉は使っていないが、それとはっきりと分かる形で 
「領土主権や海洋権益の争いは、対話でうまく解決していく。争いの拡大化、複雑化には反対する」 と明確に述べている。
 習近平総書記や王毅外相の対話姿勢がどこまで本気なのか、日本側もしっかりと見定め、行動に移す必要があろう。

 さらに、中国政府系複合企業、中国中信集団(CITICグループ)のトップを含む同国経済界の首脳ら約10人が2013年9月25日、東京都内で経団連の米倉弘昌会長、経済同友会の長谷川閑史代表幹事、菅義偉官房長官ら日本の政財界首脳と相次いで会談した。 2012年の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化以降、冷え込んだままの日中関係だが、一連の会談で中国経済界首脳らは経済面における交流促進の重要性を強調し、経済主導で関係改善を図る必要性を訴えた。
 米倉経団連会長との会談で、CITICグループの常振明会長は「最近、減少傾向にある日本の経済界との交流促進のために来日した」と表明。その上で、常会長は「(日中両国の)関係改善のために力添えをいただきたい」と要望した。 これに対し、米倉会長は11月に日中経済協会の100人規模のミッションの一員として訪中するとした上で、「日中平和友好条約の締結35周年の今年こそ、両国関係の改善・強化に向けた筋道をはっきりさせることが重要だ」と述べた。 また、長谷川同友会代表幹事は会談後、記者団に対し、「多分、(中国)政府の了解も得て、来日している」 と指摘した上で「有意義な意見交換ができた」と述べた。
 これに先立ち、中国経済界首脳らの表敬訪問を受けた菅官房長官は、25日の記者会見で、「日本としては対話のドアは常にオープンだ。 こうした(経済)交流が日中の戦略的互恵関係の発展に資するものだと考えている」 と強調した。

 (コメント) 中国も、「尖閣問題は譲れないが日本との不仲は経済成長を損じる。何とかメンツが立つような形で関係修復したい」 と考えるようになってきており、韓国の抗日を煽る一方で、中国民衆の反日デモを抑制し、中国マスコミに対しても日中開戦を煽るような記事は控えさせている。 これは安倍政権が毅然とした態度をとったからだろう。 尖閣棚上げ論も出てきているが、ポイントは現状の日本の実効支配を中国が認めるかどうかであり、そこは国民感情から言ってもなかなか妥協が難しい。 手がなくなった中国では最近、無人機で尖閣監視を常態化しながら日本の尖閣実効支配を崩し日米安保の対象から外したいと考えているようだが、テロ目的かも知れない無人機が日本領海内に入ってくれば国際ルールからしても撃墜するのが当然だ。 現在、中国では軍部が巨額の予算を背景にして力を付けてきており、習政権を操っている可能性があることが気がかりだが・・・。 日本の民主党政権時代のその場しのぎ対応は、中国軍部・人民解放軍を勢いづかせるだけだ。 日本が二度としてはいけないことは、民主党政権時代の対中、対韓外交である。
 財界としても、日中間の経済界同士で親善を図るのは結構だが、特に経団連は日中間の外交政治には首をつっこまないでほしい。そのようなことは、誰も経団連に期待してはいない。 今度の消費税増税で法人税を引き下げても、それが中国など外国への投資資金に回るだけになることを国民は心配しているのだから、むしろそちらの方の懸念を払拭して欲しいものだ。

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    ★★アメリカ経済予測研究所ハリー・デント氏による世界経済動向の解説★★
韓国は、「中国への輸出依存度の高さ」が問題点で、今回の新興国経済危機が伝播する可能性が大きい。 労働人口減少や人口オーナスが進む国はいずれも今後経済状況が厳しくなることに注意が必要、解決策は外国移民の受け入れしかない。(2013年08月27日の中央SUNDAY/韓国中央日報日本語版)

 米連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和(QE)縮小の動きが見られる中、新興国の外国為替市場は揺れ株価は大幅に下落して、アジアには新たな危機への恐怖が広がっている。 韓国金融市場もこの影響を受けているが、韓国政府は堅調なファンダメンタルズと3000億ドル以上の外貨準備高を誇示強調している。  しかしアジア危機の原因は何か?本当に量的緩和縮小のためなのか? 韓国は安全地帯なのか? 世界経済は今後どこへ向かうのか? 
 米経済予測研究所「HSデント」の設立者兼最高経営責任者(CEO)のハリー・デント氏に8月23日晩、電話で危機の原因と世界経済の見通しについて尋ねた。  デント氏は、1980年代末にピークを迎えた日本経済が長期不況に入ると的確に予告した。 また90年代初めには3000ドルを割っていた米国のダウ平均株価が1万ドルを超えるとも予想し、的中させた。 それ以降、世界的な経済予測専門家という評価を受けている。  しかしデント氏は最近、悲観論の伝導師のように見られている。デント氏は、「経済の大きな方向を決めるのは金利と通貨量の調節ではなく、生産可能人口の減少やベビーブーマーの引退など人口構造の変化と消費だ」 と強調している。 このため、各国の景気浮揚策の効果は短期的なものに終わり、世界経済は今後しばらく沈滞を抜け出すのが難しいとみている。 著書「2013ー2014世界経済の未来」で、デント氏は今後10年間は世界経済は現在より深い“冬”を経験することだろうと予測した。

  −−QE縮小(アメリカの金融緩和縮小)が予想されるなか、インド・インドネシア・ブラジルなど新興国の金融市場が危機を迎えている。 その原因は何か?
  「QE縮小は主な要因でない。もっと大きな影響は世界経済の沈滞であり、これによる原材料・商品価格の下落だ。 もちろんQE縮小の動きが新興国への投資を減少させる側面はあるが、それは2次的な要因にすぎない。根本的な部分を見る必要がある。 新興市場は世界経済を牽引するというより、グローバル経済の恩恵を受ける側だ。世界経済沈滞の影響を受けるしかない。 特に中国の景気が厳しくなり、新興国経済が沈滞するが、これはさらに中国に影響を及ぼす悪循環となる」

  −−危機の新興国のうち特に状況が厳しい国はどこか。
  「厳しいのはブラジルとインドネシアだ。 一方、インドはルピーは値下がりしているが、内需市場が大きいし人口構造も悪くない。 輸出依存度は国内総生産(GDP)の10%レベルで低い方だ。 しかしブラジルとインドネシアは違う。輸出依存度が30%を超える。グローバル景気低迷に脆弱になるしかない。 これらの国が独自に現在の危機を抜け出す方法は事実上ないだろう。 両国をはじめとする輸出依存度が高い新興国は、今後しばらく沈滞から抜け出すのが難しい」

  −−米国のQE縮小の動きをどう評価するか。
 
 「市場はすでにQE縮小が始まると見ている。 この5年間のQE措置で米国景気が少しずつ良くなってきたのは間違いないたが、それは永遠には続かない。 QE中断はもう一つの経済危機を招きかねないが、しかし何よりQEのような浮揚策が長期的に景気を回復させるうえで実質的に役立つかどうかは疑問だ。 私たちは景気低迷と戦うために紙幣を刷ったり、QEなどさまざまな浮揚策を使ってきた。 しかし日本や米国、韓国の事例で見ると、人口構造の変化(労働人口減少)と、これによる消費需要の減少という大きな人口オーナスの流れには対抗できない。 人為的な浮揚策は、経済の自然なメカニズムを弱める可能性がある」

  −−新興国の経済危機は韓国にどんな影響を及ぼすだろうか。韓国政府の当局者は大きな影響はないとみているが。
 
 「それはどの国の官僚も、国民を安心させるために話すことだ。 韓国は国内総生産(GDP)に対する輸出の比率が50%を超える特殊な国だ。 自動車・コンピューター・電子製品のような高付加価値製品を多く輸出、販売している。 世界経済が沈滞しているなかで、輸出主導型の韓国経済が影響を受けないはずはないと思う。 韓国は、アジア特に対中国輸出の比率が20%を超えているが、肝心の中国経済は厳しい状況にある」

  −−韓国の外貨準備高は3000億ドルを超え、18カ月連続で経常収支黒字を出しているが・・・。
 
 「それは危機の緩衝要因にはなるかもしれないが、しかしそれが危機を防ぐわけではない。 中国の外貨準備高は2兆ドル水準もあるが、中国の輸出の51%は新興国向けだ。 新興国の沈滞が続けば中国にマイナスの影響を及ぼし、これは韓国にも波及して悪影響を与える。 韓国の最大の強みである輸出が、逆に最大の弱点に変わるかもしれないことを知るべきだ」

  −−では、韓国は内需市場を拡大する必要があるということか。
 
 「それが、いま中国が必死で試みていることだ。 韓国も内需市場をもっと拡大する必要があるが、しかし韓国の場合はそれも今後5年ほどしか効かない。 2018年以降の人口減少で、韓国の内需市場は減少する。 韓国の人口構造で見ると、1990年代後半の日本のように、韓国は長期不況に入る可能性が強い。 日本は莫大な負債を抱えて社会は高齢化しており、以前のような繁栄は難しいだろう。 日本はアベノミクスでますます深い沼に陥っている。 韓国は、高齢化先行国である日本の状況にもっと目を向けなければならない」
 
(※統計庁によると、韓国は少子高齢化が急速に進み、2018年から人口が急速に減り始める。デント氏は人口構造を経済成長を牽引する核心要因と見ている。ベビーブーマーのような巨大な人口集団の消費がピークを過ぎ、消費が減り、経済が徐々に下降し始めるという主張だ。需要不足で物価が落ち、生産減少、失業率上昇を招き、これがまた需要不振につながる悪循環になるということだ) 

−−日本の景気浮揚策「アベノミクス」は失敗すると見ているのか。
  「そうだ。 最近の強い景気浮揚策にもかかわらず成長の望みはない。 日本はすでに人口オーナスに1990年に突入した。2020年以降は労働人口構造が悪化するだけでなく、人口減少までも加速する。八方ふさがりのなか、良く今まで持ちこたえてきたものだ。 今後日本がアベノミクスを通じて2%のインフレ目標を達成すれば、金利は3%に上がるだろう。 日本政府はGDPの200%にのぼる莫大な負債を抱えているため、金利上昇は負担になり、逆効果を招くはずだ。 金利上昇を抑えながらインフレを引き起こして、国の負債を軽減するような魔法の杖など無いのだ」
 
(※日本は韓国より高齢者人口が多い超高齢社会。日本では、65−74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者という。 2020年は後期高齢者の数が前期高齢者を上回ると予想される時期)

  −−韓国は投資・消費ともに沈滞している。 これにどう対処するべきか。
  「各国政府が景気沈滞を防ぐためにさまざまな政策手段を使っているが、人口構造の変化などさまざまな指標を見ると、2014−2019年に、世界の各国政府は大きな経済危機とそれに伴う政治危機を経験することになるだろう。 企業は、景気低迷に備えて、事業拡大よりも堅実な方向へと進む必要がある。 競争力が落ちる事業は整理し、コストを減らし、負債は返済しなければいけない。 政府も支出を減らす必要がある。 いつまでもQEのような政策で景気低迷に対応することはできない。 個々の家計では職場を守り、負債を減らす必要がある。 不動産の価格は落ち、株価も下落するだろう。 より多くの現金を保有し、最も安全な資産に投資しなければいけない。 私ならば、米国ドルや米国債券に投資するだろう。 他国の通貨価値が落ちる時、ドルの価値は上がる傾向にある

  −−家計の負債はどうか。 韓国は金額で1000兆ウォン、GDPの90%水準だが。
  「米国のように消費者が多くの負債をしたり、能力を超過する不動産を購入するようにしてはならない。米国のまねはするべきでない。 多くの国で負債が増えるのは、通常、過度な不動産投資のためだ。 米国の家計負債の75%が不動産で、負債は景気低迷期に状況をさらに悪化させる。GDPに対する家計負債の比率は、60−70%水準が適切だと考える」

  −−韓国政府は景気を回復させて不動産取引を促進するため、減税を準備しているが?
  「不動産投資を増やすという側面では、それは良い政策とは思わない。 米国は住宅担保貸出会社のファニーメイやフレディマックを通じて、信用レベルが低い人でも住宅を購入できるようにした。 このことが、結局は不動産バブルの崩壊、サブプライム問題につながった。 このような浮揚策は短期的な効果をもたらすだけで、長期的には経済を悪化させる」

  −−人口構造の変化という大きな流れの中で、景気浮揚策が実質的な効果を出せなければ一体どうすればよいのか?

  「最初にするべきことは定年の延長だ。 これは政府が強力なリーダーシップを持って推進しなければならない。韓国を含む多くの国で、ベビーブーム世代は10−20年以内に退職する。 定年を延長しなければ、政府が年金・健康保険などで同世代を支えるのは無理だ。景気低迷期、高齢化社会では、人々がもっと働くことが重要だ。 中国のように、年金や生活保障向けの資本蓄積がないまま人口オーナスが目前に迫っている国において、国民は80歳以上生きるのに50−60歳までしか働けないというのは間違っている。
 労働人口が減る「人口の崖」が近づいているが、これに備える国だけがそれなりの発展を享受できるだろう。 一部の南欧諸国に至ってはむしろ定年年齢を引き下げているが、はっきり言って自殺行為だ。 このようなことでは、欧州には今後の経済成長は殆ど期待できないだけでなく、政治危機さえ生じるだろう。 アメリカは、メキシコなどからの移民が多く入ってくるので、労働人口減少や人口オーナスは起こりにくく、経済成長の点では非常に有利だ。
 日本は、高齢化時代到来の前に年金等向け資産蓄積をし、定年も65歳まで引き上げた。 しかし、それでさえも十分でなく、今後は女性の本格労働活用を行い、さらなる年金引き下げもやむを得ない。 それが嫌なら、東南アジアから外国人労働者や移民を受け入れるしかない。
 韓国はどうか? 韓国は外国人を受け入れた歴史があまりない。 しかし韓国は社会保障の資本蓄積が十分でなく、人口オーナスからの脱却もできない以上、難しいだろうが東南アジア地域の労働者をはじめ多くの海外移民者を受け入れることが手っ取り早い。 彼らは若く、高齢化する韓国社会を補完できる。 海外移民者との宗教・民族摩擦や職の奪い合い、言語問題は、何とかして解決しなければならないだろう。 また、政治的危険性は高いが、中国や北朝鮮の移民受け入れも可能性としてはあるのかも知れない」    
(中央SUNDAY第337号より
-以上−
2013年9月27日
九州ホーム