STAP万能細胞の文科省系理化学研究所と、経産省系産業技術総合研究所を特定国立研究開発法人にする方向が決定。
 下村文部科学大臣は2014年1月31日、細胞に外部刺激を与えて作成するSTAP万能細胞を開発した理化学研究所を「特定国立研究開発法人 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/gskaigi/kaikaku/dai3/sankou2.pdf」に位置付けることを示唆した。
 特定国立研究開発法人とは、40近く予定されている研究開発法人のうち、官邸として世界トップレベルの先端的研究を担わせる2−3の特定組織のことである。 職員の俸給は年俸制を採用し、世界から研究者を招聘する。
 文部科学省によると、国際的な研究評価を処遇に反映し、制度がスタートすれば年俸1億円の研究者が誕生する可能性もあるという。 2月に開かれる関係閣僚会議で最終決定する。 国立研究開発機関の中から世界と競争できる「エリート研究所」を選定する仕組みで、優秀な研究者を確保するため成果に応じた高額給与を認める。 閣議後の記者会見で明らかにした。
 小保方晴子さんが進めたSTAP細胞の研究については、政府として再生医療事業として支援することも決めた。 下村文科相は、「革新的な再生医療実現につながると期待しており、ニーズに応じた支援充実を図りたい。 若手や女性研究者が活躍しやすい環境づくりを支援し、第2、第3の小保方晴子さんが生まれるようにしたい」と話した。
参照 http://www.soumu.go.jp/main_content/000268912.pdf


 特定国立研究開発法人の候補として独立行政法人理化学研究所のほか、(独)産業技術総合研究所、(独)物質・材料研究機構が検討されていた。 しかし、議論の結果、理化学研究所と産業技術総合研究所の二研究機関をまず2014年からの特定国立研究開発法人とする方向が決定された。

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政府は2013年12月24日の閣議で、現在100ある独立行政法人(独法)を統廃合などで87に再編する改革方針を決定した。 このうち、研究開発型独法(国立研究開発法人)は37とし、さらにそのなかで世界トップレベルの研究成果が期待される2−3の国立研究開発法人は特定国立研究開発法人として、研究員の成果に応じ高額の給与を支払える新制度を導入する。 不正があった場合、所管省庁の閣僚が是正命令や業務改善命令を出せる仕組みも設ける。 来年の通常国会に独法通則法改正案を提出する。
 独法改革を巡っては、福田内閣が101法人を85法人に再編する方針を閣議決定。 民主党政権は102法人を64法人に再編する方針に転じた。 第2次安倍内閣はゼロベースで見直すとしていた。 停滞していた独法改革がようやく動きだす。 統合対象は19法人。 農業生物資源研究所など4法人を一本化。海上技術安全研究所など海運系3法人を統合する。 原子力安全基盤機構など2法人は廃止。 日本貿易保険は経営の自由度を高めるため株式会社に近い「特殊会社」に改める。 一方、医療の研究開発の司令塔として「日本医療研究開発機構」を新設する。
 理化学研など研究開発型の一部独法を「特定国立研究開発法人」に指定し、給与水準を柔軟に設定できるようにする。 優秀な研究員の海外流出を防ぐ狙い。 都市再生機構(UR)は大都市部の高額賃貸マンションの運営を民間委託し、高コスト体質の改善につなげる。

 2014年に入って、政府は公共性の高い事業やサービスを担う独立行政法人(独法)の改革法案を国会に提出する。 100の独法を一律に規定するこれまでの制度を見直し、仕事の内容に即した管理の手法を導入する。 理化学研究所をはじめ研究開発を手がける37の独法に対しては、国際競争力を高める必要から幅広い裁量権を与え、運用ルールを緩和する。 さらにごく少数の研究開発独法を世界的な研究成果が期待できる「特定国立研究開発法人」に選んで特別の扱いをする。
 事細かな運用ルールに縛られ、本来の研究開発に十分に力を注げていないとの指摘があった。 過剰な規制を緩和し、研究開発に専念できる環境をつくるのは重要だ。 研究開発独法の目標に「研究開発成果の最大化」を明記、業績主義に基づき優れた研究者には高い給与を支給しやすくする。 「特定」に選んだ独法では世界トップ級の頭脳をスカウトするため事務次官より高い給与を認めるという。
 横並びからの脱却は望ましい。 しかし独法の研究者や職員にとってただ居心地のよい環境づくりになるようでは困る。 幅広い裁量権は当然、責任を伴う。産業の国際競争力を高め国民生活に役立つ成果を着実に出すよう、研究開発独法は自らを厳しく律せねばならない。甘えは許されない。

 そもそも独法は無駄づかいや天下りの温床として批判を受けた特殊法人改革の結果、10年以上前に誕生したもの。 税金で運営される以上、組織運営の効率化、透明性と説明責任を高める努力が求められる。 研究開発の独法といえども、そこは共通だ。 「研究開発成果の最大化」という目標は曖昧に過ぎる。 独法ごとに使命に即した明確な目標を設ける必要がある。
 現実にどこまで独法の裁量権が広がるかは運用ルール次第の面もあり、法案審議や詳細な制度づくりを通じて、実効性のある改革とすべきだ。 また研究開発独法の数はまだ多すぎる。 役所の垣根を越えた統合・再編は業務の効率を高め、成果の最大化にもつながるはずだ。

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2014年1月31日
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