2014年度の東アジア情勢の変化について。 クリミア-ウクライナ問題も示唆
 
「オバマの4月アジア歴訪で米国はアジアでの存在感を示せるか」
 安倍首相の靖国神社参拝と、韓国の従軍慰安婦問題を巡る曖昧な姿勢は、くすぶっていた歴史問題を再燃させた。 中国と韓国の両政府はこれに激しく反発している。 理屈の上では、日中政府は緊張が緩和する方が有益となる。 日中の緊張の高まりで、両国とも政治・経済的損失を負っている。 中国は強硬姿勢を強めたことで、近隣諸国を米政府の包囲網に走らせている。 日本は安倍氏の強硬なナショナリズムで世界の友人を失う。 相互不信が判断ミスを招くことは世の常で、中国軍も自衛隊もそれぞれの戦争プランを密かに用意していると見た方がよい。 日韓関係の改善に道筋をつけることはオバマ氏のアジア歴訪での任務の一つになる。 両国は利害を共有するため、同盟関係がふさわしい。
 ある米評論家は米政府は安倍氏側に付くしかないと主張する。 米国は尖閣諸島の領有権について立場を明確にしていないが、日本の実効支配下にある尖閣諸島が日米安全保障条約の対象となるのは明らかだからだ。 中国が尖閣を侵略しても傍観に徹すれば、米国はアジア地域で計り知れないコストを負うことになる。 中国の究極の狙いは、米国をアジア・西太平洋から締め出すことにある。 尖閣防衛を放置すれば、米国はこの地域での信頼を失う。 オバマ氏は東シナ海の岩を巡って中国に対抗しなければならないのかを、韓国の攪乱要因を考慮するにしても、そろそろはっきりさせなければならなくなる。
 そこで米国のヘーゲル国防長官は4月頭の訪中に際し、中国に対して、日本が実効支配している尖閣諸島への安保適用を言明した。 日米の相互不信は判断を誤るもとだが、ではなぜ米国とくにオバマ大統領は、「尖閣の領有権に関してはどちらの肩も持たない。しかし現状では、日本が尖閣を実効支配している」 などと曖昧な対応に終始しているのだろうか。 その答えは簡単だ。 米国が退くことはできないにしても、中国との衝突を招くような誘惑や動機を日本の安倍首相に与えたくないのだ。 安倍氏を安心させつつも彼を抑え込んでおきたいのだ。 だが、米国の曖昧戦略は、「それでは尖閣海域にもっと多くの海警船をパトロールさせて、日本の実効支配を弱めておこう」、などと中国に誤った期待を抱かせる怖れがある。
 このようなオバマ大統領の危険な綱渡りが、日中間の平和維持に貢献するかどうかは誰にも分からない。 日中のどちらかが、強硬に米政府に選択を迫る恐れもある。 そこで4月のオバマ訪日の際に、ヘーゲル氏同様の表明をオバマ大統領が行うかどうかが、注目されるところだ。 ロシアのクリミヤ編入で手傷を負った大統領は、中国に対して厳しい表明をする可能性が高い。 表明しなければ、安倍首相とオバマ大統領との間には相当の亀裂があると言うことだろう。

  ロシアのクリミア侵略は、米国や西側諸国が一線をどこに引くのかという問題を提起した。 北大西洋条約機構(NATO)は、ウクライナ・バルト諸国を巡って戦争に突き進むのか。 そのような軍事衝突にはならないだろうが、ウクライナがロシアの強烈なプレッシャーを受け続けることを防ぐ手だては、EUやNATOにも無い。 EUには、窮乏しているウクライナを抱え込む経済的ゆとりもない。 もしも有効な手立てがあるとすれば、ただ一つ。 クリミヤ併合でロシアの2014年経済成長率は計画より2%ダウンして、0.5%成長に留まる見通しであると、ロシア政府が4月16日発表したことだ。 世界中のヘッジファンドからの投資資金が、ロシアを嫌って引き揚げられたためという。 国連の制裁などよりも、民間ヘッジファンドの動きのほうがロシア経済を停滞させ、ロシア政府にとって頭痛のタネになりそうだ。
 東アジアで米国に問われていることも、クリミヤとほとんど同じだ。 今回のロシアのクリミヤ編入に対抗する米欧の対ロ経済制裁は、中国の尖閣諸島や南沙諸島併合意欲を慎重にさせるだろう。 中国は現在、世界貿易によって覇を唱えている経済大国であるが、まだ米国に対抗できる軍事大国などではない。 しかも中国は、共産党幹部家族の在米資産凍結や米国との貿易停止のような経済制裁に対しては、ロシアと比べて免疫・抵抗力が格段に弱い。 そのために中国政府は、そのような経済制裁を引き起こしかねない、周辺領海領土への武力行使については、慎重にならざるを得ない。 制裁で経済大国の座を滑り落ちたら、中国にはほかに何もないのだから。 By Philip Stephens(2014年4月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙など その1


 (コメント) ロシアのクリミア編入に関して、ただでさえも低下しているオバマ政権の評価がまた下がってしまった。 一体、米国は本気でロシアの暴挙を阻止する意志があるのか、が疑われているのだ。 しかしその答えはもうはっきりしている。 オバマ大統領は、米国はもう世界の警察官であり続けることはできないと言明した。 また、イスラエルとの中東和平交渉についても、「米国が中東和平に注ぐ時間と資源は限られている」 とも発表した。
 東アジアでも、オバマは日米韓首脳会談をとりもったものの、日韓の信頼回復にはほど遠い。 クリミア編入を許してしまった米国に対しての風当たりは強く、東アジアでもロシア同様に中国の横暴を許せば、もはや米国に協力するアジア諸国はいなくなるかも知れない。 日本も、台湾も、韓国も、フィリピン、マレーシア、インドネシアも、さらには北朝鮮もじっと米国の様子をうかがっている。 米国の国防総省などはこのことに危機感を募らせており、アジアでの米国軍部のプレゼンスを高めることに躍起になっている。 しかしながら、キッシンジャー系列に繋がる国務省のライス氏など、米中の大国関係重視派がオバマ政権に多いことが、問題を複雑にしている。
 ともあれ日本としては、尖閣諸島防衛はまずは自力で対応する覚悟のほどが求められるところだ。


[FINANCIALTIMESなど その2] クリミアは緊張するアジアに向かい合う米国へ警告だ 2014/4/14

 中国の新しい空母は、同国の増大する艦隊の中で最高位かもしれないが、実はかつてウクライナが持っていた船体を再装備したポンコツだ。 チャック・ヘーゲル米国防長官は、外国人として初めて空母「遼寧」に搭乗する可能性のある4月上旬のアジア訪問を利用して、中国の海への野望とクリミア統合の間に共通するずっと大きな関係を描いてみせた。 「勝手に境界線を再定義し、武力や威嚇、脅しによって領土の一体性と国家の主権を侵害してはならない。 それは太平洋の小さな島であれ、欧州の大国であれ、同じことだ。」  ヘーゲル長官は東京の観衆に向かってこう語った。 「だから、私はこれについて中国の友人たちと話したいと思っている。」  しかし、ヘーゲル氏とオバマ大統領の見解が、全く同じかどうかは、4月24日のオバマ訪日での発言を聞くまでは分からない。
■グローバル経済と、領有権争いが共存する世界
 ウクライナ危機の影響は、欧州から遠く離れた場所でも感じられるだろう。 最も重要な副次的影響の1つは中国がここから引き出す教訓であり、中国がアジアの現状を無視して行動しても国際社会から何の報いも受けずに済む、と結論付けるかどうかだ。 アジアには、21世紀のグローバル経済の最も高度な製造業のネットワークと、19世紀末期を強烈にほうふつとさせる要素、つまり高まる民族国家主義と拡大する海軍、そして不快な領有権争いが共存している。 国境線を引き直すロシアの取り組みの成功が中国を勢いづかせ、アジア各地での島々領有に対する自国の主張を押し通すようにならないかとの懸念がある。 ヘーゲル長官のアジア歴訪の1週間は、こうした不安に対処することに費やされた。 
 あるレベルでは、ウクライナとアジアの海洋問題の間に密接な関係性を描くことには、無理があるように思えるかもしれない。 クリミアには、機を見るに敏なロシアの指導者が利用できる特殊な条件がそろっていた。 セバストポリの海軍基地のおかげで、ロシアの部隊は既にクリミアに事前配備されていた。 ウラジーミル・プーチン大統領は、キエフの政治不安とクリミア市民の本物のロシア支持に助けられた。 何にも増してクリミヤの地形的特徴により、ロシアがクリミアに侵攻しても欧米諸国には現実的な軍事的対抗の選択肢が1つもなかった。 だが、もし中国が東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)を強引に奪おうとしたら、日本と恐らく米国からの激しい反撃に遭うだろう。 さらに、米国はウクライナとは同盟を結んでいなかったが、日本、韓国、フィリピンとは軍事同盟関係にある。
 多くの近隣諸国の目から見ると、中国は長年アジアの海域で小さな土地強奪を行ってきた。 2012年には、フィリピン側とのにらみ合いの末に、中国の船舶が南シナ海のスカボロー礁を支配下に置いた。 またここ数週間は、中国の船がセカンド・トーマス礁と呼ばれる別の地域からフィリピン船を追い出そうとして徘徊している。
■アジア回帰を正当化
 アジアと欧州の双方で、米国は同じジレンマに直面することになった。 最終的に米国民は、より直接的な利害を持つロシアや中国と比べると、ことの結末に関心がないという事実だ。 こうした事情を念頭に置いたうえで、アジアに関して米国がウクライナ・クリミヤから得られた大きな教訓がいくつかある。 1つ目は、アジア重視の方針を堅持することだ。 批評家は、オバマ政権は欧州を無視することでプーチン氏に力を与えたと批判しているが、この言い分には一理ある。 だがウクライナ危機は実はアジアへの「ピボット」を正当化するものだ。 つまり、抑止を実現する最善の方法は、強力な軍事的プレゼンスを誇示して同盟関係を強化してアジア各国との経済的なつながりを深化させる一方、中国への関与も試みるという考え方だ。
 クリミア危機は、正統的な軍事を選ぶことの重要性も示しており、昔からの軍事同盟国を守ることはそのとおりだ。 ウクライナで軍事上の影響力を失うかも知れないというロシアの恐怖は、西側にとって予測すべきことだった。 そこで米国がもし中国を過度に挑発することを避けたいのであれば、アジアではベトナムのような国々と新しく同盟を結ぶ際には慎重にことを運ぶ必要があろう。
 
中国にとって残念なことは、中国と真に仲の良い周辺諸国はラオスとカンボジアくらいしかないことだ。 冷戦下の苦しい中で、共産主義のために種々の援助をしてやった周辺諸国は、近年とみに中華主義の中国に警戒心を抱くようになってきている。 韓国は別として、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、北朝鮮、インド、ネパールなどがそうだ。 現在の中国には経済力はあるが、人徳ならぬ国徳が無いためであろう。 ベトナムなどは、中国に頼らず、米国はもちろん、ロシアやインドとの多国間軍事的協力を模索するようになってきている。
 
突き詰めると、クリミア危機は、国際政治のより厳しい現実に注意を促す警告だったともいえる。 中東やヨーロッパに関心が深いジョン・ケリー米国務長官は、好んで、ウクライナにおけるロシアの「19世紀的な行為」を非難する。 だが、中国のような野心的な強国と、バラク・オバマ米大統領がロシアを指して呼んだ「いら立つ地域大国」とが存在する世界が、現実なのだ。 そのような世界では、「経済的な絆」と「国際法」を叫ぶだけでは、不安定な修正主義を防げないかもしれない。 結局のところ経済のグローバル化だけでは、ロシアを抑えられなかったのだから。  By Geoff Dyer in Washington (2014年4月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙など)



FINANCIALTIMESなど その3 中国はリーマン型危機を回避できても危うさが2014年4月15日
 中国ではこの2カ月間、最近では極めてまれな国内債券のデフォルト(債務不履行)や一連の小規模な破綻が発生し、一部の投資家は中国版「リーマン・ショック」につながりかねないと心配し始めている。 メディアにセンセーショナルな見出しが躍り、金融危機の懸念が浮上する背後で、実際にはもっと複雑な事態が起きているようだ。
 システム上は重要でないこのような金融機関の破綻は、中国政府による見せしめの意味合いが強い「ポチョムキン(見せかけだけの)デフォルト」キャンペーンの一環だとして、中国国営メディアが大々的に報道しており、これを海外メディアが増幅している状況だ。
 金融システムの安定を維持する責任を負っている中国人民銀行(中央銀行)の主導により、中国政府はモラルハザード(倫理の欠如)に対応して市場規律を維持する手段として、今回のデフォルトをコントロールした。 地域やシステムの安定を脅かしかねない大規模な破綻やデフォルトについては、中国政府はこれまでと同じくひそかに介入してローンの借り換えを促してこれらを救済しているのだ。 それでも、すでに発生した小規模なデフォルトが偽物というわけではなく、債務過多の中国の金融システムに重大なリスクがあることは否めない。
■影の銀行で積み上がる債務
 中国は、米国の金融システム全体に匹敵する与信を、リーマン以後の5年間で新たに積み上げたため、金融リスクが増大した。 格付け会社フィッチ・レーティングスの試算によると、中国の債務総額は国内総生産(GDP)比で2008年は130%だったが、昨2013年末には約220%に高まったという。
 中国で強く懸念されているのは、積み上げられた債務の大部分(いくつかの試算によると昨年供与された与信全体のほぼ半額)が、不透明で規制の少ない「シャドーバンキング(影の銀行)」によるものであるためだ。 中国の影の銀行とは、2008年の金融危機以前に米市場でもてはやされた金融工学ほどには、悪質でも有害でもないしろものだ。 これが、より広範なシステムを揺るがす可能性は極めて低い。 さらに中国の国債利回りは、それほど高いとは言えない。 そのため仮に取り付け騒ぎが発生しても、中国当局は紙幣の増し刷りと影の銀行の救済により、リーマン型の危機を回避でき、金融システム全体の安定は保たれるだろう。
■金融危機より成長の危機
 ただ、中国経済は、不動産をはじめ信用を基盤とする投資に大きく依存している。 昨2013年の不動産投資はGDPの約16%であり、金融危機前のアイルランドやスペインに近い水準だ。 不動産、鉄鋼、セメントなど、リスクの高いプロジェクトに投じる影の銀行の資金が底をついた場合には、中国最大の問題は金融危機でなく、新規投資の途絶による経済成長の停滞危機になるはずだ。 そうなれば、就職難などで中国民衆の不満が高まる怖れがある。 経済成長が7%を切ることは、政府としては何としてでも避けたいはずだ。 もしもそのような事態になりかけたら、中国当局は紙幣の増し刷りでも何でもやるだろうが、できれば後遺症の残る荒療治は避けたいだろう。 中国当局が、「モデルとなるデフォルト事例はこのようなものだ」、ということを躍起になって示している背景は、それ以外の案件は救済しますよと言うことなのだ。
 経済停滞リスクが現実化しないようにしながら、高利を期待する投資家に厳重な注意を促すことができれば、政府としては満足だろう。 さらにもう一つ、海外の投資マネーを中国に引き付けて置くことも肝要だ。 習近平氏は、中国への投資呼びかけのために2014年4月、ドイツ詣でを行ったほどだ。 尖閣のような小島を巡って日本と敵対関係にあることは、中国経済にとって重荷になってきている。 そのような懸案が解決されれば、中国当局は今後も経済をうまく運営していくことができるだろう。
  By Jamil Anderlini (2014年4月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙など)


習近平政権は、
    「経済成長率低下を甘受しても、中国は二度とリーマンショックのときのような大規模景気刺激策は打たない」
 と表明。
 新華社は2014年4月7日の解説記事の中で、中国政府は大規模な刺激策を再び打ち出すことは回避するという見通しを示すとともに、金融及び財政政策に転換の兆しはないとした。 中国景気の鈍化を受け、投資家の間では、控えめな規模の刺激策が講じられるという観測が広がっている。 新華社は英語の解説記事で、「国務院(内閣に相当)が一連の政策を水曜日(2日)に発表して以来、『小型刺激策』説が広まっている」と指摘。 「しかしながら、景気刺激策に関するうわさはどれも誤解であり、2008年の世界金融危機後に中国が打ち出した刺激策のようなものを期待している人が居ればきっと失望することになる」 とした。 中国の場合には、中央政府が果断に経済政策を実行できることが、バブル崩壊を防止する強力なツールとなっており、西欧諸国の経済政策実施とは異なるところだ。 ちなみに、中国の2014年経済成長率は7.5%が計画目標だが、死守線は7.2%であろうとされている。 万が一7.2%を切るようなことになれば政権の責任が問われるから、死守線が危なくなってきたらやむを得ず景気浮揚策を打ち出すだろうが、今は政権にとってはまだ余裕がある水準と言うことだろう。
 また、中国政府は4月2日、鉄道プロジェクトの建設促進と小規模企業向けの減税を発表した。 新華社の解説記事は公式な声明ではないが、政府の公式見解を反映しているとみられている。 新華社は、中国経済が少しの刺激を必要としているが、本格的なものは必要ではないとの見方を示し、「最近の西側諸国の弱々しい基準に比べれば、中国の経済成長率は高水準であるため、慌てる必要はない」 と付け加えた。 また、「利口な人たちは察しがついているが、中国での金融および財政政策の転換の兆しはない」 との見解を示した。
 中国の経済成長力は最近明らかに減衰しており、政府投資や組立て貿易から高度加工貿易や内需振興に比重を移しつつあるが、まだうまくいっているとは言い難い。 さらに日本との領土問題で日本から中国への技術投資や貿易が鈍っているため、2014年に入ってからの習政権ではドイツなどからの技術投資呼び込みに熱心になっている。



2014年4月18日、中国紙の新民周刊は、「安倍首相の“韓国語あいさつ事件”の衝撃」 と題する記事を掲載した。以下はその概要。
 先日、オランダで行われた日米韓首脳会談で、日本の安倍首相は韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対して韓国語で「お会いできてうれしいです」と話しかけた。 安倍首相は韓国との関係改善を狙ったが、朴大統領の反応は予想以上に冷ややかで、結果は明らかな失敗だった。
 朴大統領はなぜ、安倍首相にここまで強烈な憎悪を示すのか。 首脳会談を行わない理由として朴大統領が挙げているのは、「日本政府の誤った歴史観」だ。 具体的に言えば、慰安婦問題、竹島(独島)問題、靖国参拝問題などだろう。 また、日本人の間では「朴大統領には何か別の意図があるのではないか」とも噂された。
 3カ国首脳会談後、ある日本の高官は 「あの件ではっきりした。 朴大統領は日本と安倍首相が嫌いなのだ」 と述べている。 朴大統領の冷ややかな態度を、日本人は容認するはずだった。 しかし、朴大統領は海外でたびたび日本の「悪口」を宣伝して回っていたことが、日本人には怒りとして蓄積されていた。 これには日本人と韓国人の違いが存在する。
 韓国人は普通、事が起きたときにはその場で発散し、怒りを蓄積させない。 一方、日本人は1つ1つの細かいことに腹を立てないが、怒りを蓄積させていく。 韓国人にはそれが理解できないため、韓国人は日本人に対して言いたい放題言い、耐えていた日本人にも限界が来たのだ。
 日本人は朴大統領を「ヒステリー女」だと感じ、韓国人は 「極右の安倍が日本の首相になったからだ」 と考えている。 しかし最大の問題は、韓国が「首脳会談を行わない」 としていることが、日本への圧力になっていないことだ。 この点から見ると、朴大統領の当ては外れている。 日本は何が何でも韓国との関係を強化する必要はないと考えているからだ。 安倍首相の“韓国語あいさつ事件”が、日本と韓国のどちらに有利に働くかは、判断が難しいところである。



-------------韓国報道関連--------------------

【ソウル/聯合ニュース】  日韓の対中投資/日本企業がこの10年間に中国への投資を積極的に進め、韓国企業の対中投資額との差が年々広がっていることが2014年4月13日、分かった。
 韓国貿易協会北京支部によると、2004年から10年間の日本の対中直接投資は529億ドル(約5兆3740億円)で、韓国(361億5000万ドル)の約1.5倍と集計された。 2004年には韓国の投資額が日本より8億ドル上回っていたが、翌年に逆転されて以降、日本が継続して韓国を上回っている。 特に2011年からの3年間で、日本の積極的な投資を背景に投資額の差が拡大している。 同期間に日本の年平均投資額は69億1000万ドルで、韓国の2.4倍だった。
 韓日の対中投資は、質的にも差がみられる。  業種別投資額は流通、サービス業で韓国企業が10.8%だったのに対し、日本企業は26.0%と相対的に高かった。 一方で、日本から中国製造業への設備投資は、尖閣などの反日のせいで最近激減している。

 韓国が中国を生産基地と見なす視点から脱却できずにいる間に、日本は急激な成長が見込まれる中国のサービス消費市場攻略に向け投資を進めていると分析される。 韓国貿易協会関係者によると、海外から中国への直接投資に占める韓国の割合は2004年の10.3%から昨年2013年は2.6%まで低下しており、 「中国消費市場の急成長を見込み、対中投資戦略を再点検する必要がある」 と指摘した。
 日中尖閣問題で政治面では中国−日本間の冷戦が続いており、それとは逆に韓国−中国は蜜月ムードであるが、経済面では日本企業は逆風にもかかわらず、したたかに中国市場特にサービス産業に食い込んできていることが明らかとなった。 韓国は、政治の対中国蜜月をてこにして貿易量拡大のみを追求してきたが、むしろ中国内需市場を重視する投資戦略面では後退しているというショッキングな結果となった。 韓中加工貿易は今後激烈な競合関係になると予測されており、中国内需サービス市場をにらんだ先行投資を果敢に行っている日本企業に、戦略負けをしているようだ。  
「聯合ニュースなどより」


【朝鮮日報コラム】 「これまで一度も外国を侵略したことがない」 という中国の主張は一体どこから見て正しいのか?
 中国の習近平国家主席は2014年3月29日、ドイツの2つの「侵略」について語った。 習国家主席はベルリンのケルバー財団での講演で「日本の軍国主義が起こした中国侵略戦争により、中国軍と中国人3500万人が死傷する惨劇が繰り広げられた。 中国はこうした惨劇の歴史を骨身に染みるほど鮮明に覚えている」と述べた。 また、「日本は南京で30万人を『屠殺(虐殺)した』」という表現を使い、日本の侵略を非難した。
 その一方で中国の侵略にも言及した。 習国家主席は、「中国は長い間、強大国の地位にあったが、他国を侵略した記録は残っていない」と話した。 習国家主席だけではない。 中国で会った多くの学者や知識人は、「中国は他国を侵略したことがない」と言い、実際にそう信じているように見える。 だが中国の侵略の歴史は、韓国人なら全員が知っている。 唐の太宗の高句麗侵略から、清が朝鮮を制圧した丙子胡乱まで、韓半島(朝鮮半島)は何度も中国からの侵略と苦難を経験している。 1950年の6・25戦争(朝鮮戦争)を見ても、中国軍が中朝国境の鴨緑江を渡りさえしなかったら、今、朝鮮半島は南北に分断されていなかっただろう。

 ポルポト政権と対立するベトナムを懲らしめるためとして、1979年に中国がベツナム北部に侵攻した中越戦争は、結局中国が戦局不利になって撤退したが、これも侵略戦争以外の何ものでもなかろう。 また、最近テロが頻発している新疆ウイグル自治区や約130人が焼身自殺を図ったチベットも、中国が平和的な手段で手に入れた土地ではないことはよく分かっていよう。 それでも中国は、「我々が侵略されたことはあっても、他国を侵略したことなどない。」 などと言うのだ。
 中国の名門・清華大学の学生は、「中学・高校で、中国が他国を攻撃したという歴史を学校で学んだ記憶がない」 と言った。 明の時代の鄭和は2万人の海軍艦隊を率いて東南アジア一帯を侵略したが、中国の歴史の本にはそのことは 「英雄による大航海」 と書かれているだけだ。 チベット併合については、「人民解放軍は、農奴状態だったチベット人民を解放した」 と教え、また清が新疆を占領したことについては、「今はそこが中国領だということこそが重要だ」、と説明している。 もともと「中原」と呼ばれていた漢族の領域は、黄河一帯だけにとどまっていた。 現在の中国の広大な領土は、長年にわたる領土拡大戦争の結果だ。 北京大学歴史学部のある教授は、「かつて中国が侵略した地域は現在ほとんどが中国領になってしまっている。 外部で言われている中国の侵略も、現在の中国の立場からすれば、内戦に過ぎないのだ」、と言った。
 
中国は最近、軍事・外交面の力をアピールしている。 中国の今年の国防費は前年より12.2%増えた。 2013年に増強配備した軍艦や潜水艦は28隻になる。 習国家主席は、「列強の大砲の下で奴隷になった歴史を繰り返さないため」 と説明した。 中国は2013年末、「中国企業の石油利権を守るため」 と称してアフリカの南スーダン内戦仲介に乗りだした。 「外国への内政不干渉」という中国の長年にわたる外交原則を破ったのだ。 北京のある国際会議で、デンマーク代表が中国の人権・環境問題を取り上げたが、中国代表の口からは、「デンマークの人口(550万人)は北京の朝陽区の人口ぐらいに過ぎないくせに」、という言葉が漏れた。
 中国の最高指導部は海外を訪れるたびに、「中国は平和を愛する」とか「中国の台頭は平和的」と繰り返す。 しかし最近の中国にあふれている中華思想に対する強烈な自信を見ていると、「中国平和国家論」や「一度も侵略したことがない」、という言葉は、外国にとってはなかなか信じがたいものに写る。
 「アン・ヨンヒョン北京特派員  朝鮮日報/朝鮮日報日本語版などより
 なお、2014年3月末、習近平国家主席はドイツを訪問し、メルケル首相と会談した。 独中両国は緊密なパートナーシップをアピールし、良好な関係を築いているかのように見える。 習主席は、尖閣で争う日本と対比させてドイツの戦後処理を褒め称えた。  しかしメルケル首相が習主席に贈ったプレゼントが、実は毒入りではないかと話題になっている。 贈られたプレゼントは中国清朝の古地図。 宣教師がもたらした情報をもとにフランス人が描いたもので、1735年時点での清朝の領土を示している。 その地図では、新疆、チベット、内モンゴル、尖閣諸島は、清朝中国の領域外とされている。 ドイツは中国との経済関係強化をうたいながらも、日中の領土や戦後処理問題に巻き込まれるのを警戒している。 さらにウイグルやチベットでの人権問題についても懸念しており、中国にわざとお灸をすえたのではないか、との見方が広がっている。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140406-00000021-rcdc-cn


「中央日報日本語版 2014年4月18日付」 米国は韓国にとって信用できる国か?
 オバマ大統領の訪韓を間近に控えた現時点で、韓国とアジアは米国にとってどんな存在なのか。 2年半前にオバマ政権が明らかにした「アジアへの中心軸移動(Pivot to Asia)」戦略なら、最高の要衝地として待遇されるはずだ。 2月に訪韓したケリー国務長官も「アジア太平洋地域への重心移動が米国の最優先課題であることを再確認する」と宣言した。 尹炳世(ユン・ビョンセ)外交長官との会談後、ソウル外交部庁舎で開かれた記者会見でだ。 果たしてそうだろうか。 韓国メディアの前ではこのように述べたが、第2次世界大戦以降、ケリーほどアジアを軽視した米国務長官も珍しい。 ケリーの関心がどこにあるのか、国務省のホームページの出張記録を見ればすぐに分かる。 昨年、ケリーが欧州・中東で過ごした日数は135日。 これに対し、アジアはわずか31日にすぎなかった。 特にイスラエルと隣国のヨルダンには10回も行き、36日間、パレスチナ紛争の解決にオールインした。
  今年に入って欧州・中東重視はさらに明確になっている。 この地域には53日間いたが、アジアはわずか9日間だった。 韓国にも3日間いたとはいえ、フライト時間を除いた実際の滞留時間は24時間にもならなかった。 米メディアが「急浮上したアジアを放り出し、中東の平和に病的に執着(obsession)する」と皮肉るのも無理はない。 米国の同盟国を名乗るイスラエルの国防相でさえ、「ケリーが誤った強迫観念で行動している」とし、「唯一の解決策はノーベル平和賞を受けて消え去ること」と酷評した。 アジアの重要性を力説し、この地域を駆け回った前任者のヒラリー・クリントンとはあまりにも対照的だ。  オバマもさほど変わらない。 最近、オバマの頭の中では韓国とアジアの存在が薄れている感じだ。 オバマの一般教書演説に常連として登場してきた韓国という言葉は、昨年に続き今年も失踪した。 日本にも触れず、第2の大国の中国も、わずか2回だけだ。 韓国という言葉が2011年に7回、2012年にも1回言及されたのとは対照的だ。
  国防費が削減され、当初約束したアジア内の軍事力強化など、想像もできない。 先月初め、カトリーナ・マクファーランド国防次官補(調達担当)は、「(アジアへの)中心軸移動政策を見直し中」 とし、「率直にいうと可能ではないため」 と打ち明けて物議をかもした。 にもかかわらず米国は、アジアへの中心軸を云々するのだから、喜劇としか言いようがない。
 昨今はオバマ政権の関心とエネルギーが、ますます欧州・中東に傾く状況だ。 プーチン大統領はウクライナ情勢で確認された実力を基礎にロシアの崛起を狙う。 オバマ政権としては西欧との関係強化でロシアを牽制するしかない。 西側専門家の間で、アジアではなく、「欧州への中心軸移動(Pivot to Europe)」 が切実だという主張が強まる理由だ。 これと関連し、大西洋の両側では意味深長な動きが表れている。 「環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)」 という超大型経済共同体を構築するために、米国・欧州が力を合わせ、最近この努力に弾みがついているという事実だ。 TTIPとは簡単に言えば、米国がアジア・太平洋地域で主導して推進中の 「環太平洋経済連携協定(TPP)」 の欧州・大西洋版だ。
 TTIP交渉が突然加速したのはウクライナのためだ。 最近の事態で米国と西欧は東欧圏崩壊以降、いつよりも近づいた。 プーチンの強力なロシア政策が、TTIPの高性能触媒剤となったわけだ。 この経済共同体が実現すれば、大西洋同盟を強く結びつける役割をするのは間違いない。 TTIPが完成すれば、世界GDPの45%を占め、太平洋中心のTPP(38%)を上回る。 世界経済秩序が再編され、韓国は直撃弾を受ける可能性がある。 韓国は現在、米国・欧州連合(EU)と自由貿易協定を結んでいる。 したがってこの巨大な市場で関税が減り、域外国家より価格競争力を持つ。 しかしTTIPが発効すれば、加盟国すべてに同じ恩恵が生じる。 すなわち韓国の優位が消えるということだ。

  心変わりした恋人と未練なく別れるように、気持ちが薄れた米国をクールに送り出せれば、韓国としてはどれほどよいだろうか。 しかし韓国としては、決してそのような立場にはなれない。 米国との対話を要求しながらわがままを言う北朝鮮が頭の上にいる限り、オバマ政権の積極的な介入と支援が切実だ。 こうした状況で、オバマ大統領の訪韓がもはや1週間後に近づいた。
  その間、朴槿恵(パク・クネ)政権は、日本との過去の問題をめぐる葛藤で外交力を浪費した側面が多い。 外交力を総動員してオバマの訪韓を引き出したが、果たして相応の価値があったのだろうか。 今回、オバマが日本だけを訪問するからといって、これを安倍首相の歴史観を認めるものと解釈するのは果たして論理的なのか。 参考に、その間、オバマは韓国を3回、日本は2回訪問している。
  日本はオバマの訪韓に合わせてTPP交渉の大幅な譲歩など、さまざまなプレゼントを準備するという。 一方、韓国は特に贈るものがない。 それでも朴槿恵政権としては、懇切な説得を通じてでも、オバマの頭の中に韓国とアジアの重要性をもう一度植え付けておくのが重要な時点だ。
  ナム・ジョンホ国際線任期者

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2014年4月20日
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