日本の原子力発電と再生可能エネルギー発電戦略は正しいのか?
最近の米国や欧州、中国の国際関係について。
原発の電力コストは、陸上風力より高価であると米シンクタンクが試算公表した。2014年9月16日
 
政府は、「原子力発電は安価である」と言っているが、じっさいには世界では「原子力は太陽光発電と同レベルであり、陸上風力や高効率石炭・ガス発電よりも2倍くらいコストが高い」ことが判明(ただし、洋上風力は高コストらしい)している。 日本政府(経済産業省)の発電コスト試算は本当に信用できるのだろうか? 政府は原発コストを第三者機関に検証してもらった方が良いのではないか。 英国ではすでに原発に高価買い取り制度を導入したし、日本でも原発電気に高価買い取り制度を導入することを政府は検討しているという。 原発は高いと言うことを政府は白状しているようなものだ。

 新設原発の発電コストは世界的には1キロワット時当たり平均14セント(約15円)であり、太陽光発電とほぼ同レベル、陸上風力発電や高効率天然ガス発電の8・2セント(約9円)に比べてかなり高価であるとの試算を、エネルギー問題の調査機関として実績のある米国企業系「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」(BNEF)が9月16日までにまとめた。 東京電力福島第1原発事故後の安全規制強化もあって建設費や維持管理にかかる人件費などが世界的に高騰していることが主な理由としている。再生可能エネルギーのコストの低下が続く中、原子力の優位性が薄れていることを印象付ける結果となった。 (共同通信社)http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014091601001012.html

再生可能エネルギー発電について

 
安倍政権の原発依存の真意に対して、小泉元首相ならずとも大多数の国民は危惧している。 「新規建設は当面は考えられない」とのことだが、一国の首相たるもの、当面はなどのあいまいな言い方をするなってことだ。 新規原発も作りたいのならば、作りたいとはっきり明言されてはどうか。
 
「原発依存度が小さくなるのは必然(本当のところはどの程度少なくしたいのだろう?)」と安倍首相でさえも公言しているのだから、まずは緊急措置として火力発電用石炭・天然ガスをできるだけ安価に輸入して貿易赤字・国富流出を防ぎ、さらに最新鋭の石炭・天然ガス発電所の建設を行うことは当然だ。 最近、世界景気の低迷で原油価格が2割下落した。天然ガス価格は石油価格に連動するから、原発停止している日本にとっては天佑だ。
 しかしそれで安堵せずに、国内調達可能な再生可能エネルギー発電所
(水力発電所は別途)を今のうちにできるだけ多く建設して、2014年実働で2-3%しかない太陽光・風力・地熱発電の割合を、将来的には2割くらいまでに高める必要がある。 なにしろ、40年以上稼働してきた老朽原発が7基もあり、廃炉が決まった福島原発なども除くと、2016年までに再稼働できる原発は35基程度しかないのが実情だ。福島原発事故前は原発50基で日本の総電力需要の25%をまかなっていたが、35基稼働では17%がやっとだ。 しかもそのほかに、次々と40年の寿命が来る原発が控えている。 そのため2030年には自動的に稼働原発は20基となり、原発依存度は10%まで落ち込むのだ。
 
再エネ発電のコストは現状では高いが、これらは化石燃料輸入による国富流出が無く且つ二酸化炭素排出も無いから、日本にとっては再エネ発電の活用は必然である。 再エネ発電支援は最初の3年間だけなどとのんきなことを言っている場合じゃない。政府は税金をつぎ込んでも、全力でソーラーをはじめとする再エネ発電を支援すべきじゃないか。
 
そもそも国際貿易というのは輸入側が強い力を持つはずなのは、経済成長著しい中国の増長ぶりからも分かる。お客様は神様だ。 しかしながら、石油や天然ガスなど限りのあるエネルギー資源に関しては、輸出国側のほうが神様なのが実情であり、日本にとってこんなばからしいことはない。 それであれば値段が少々高くても、日本は自前の再生可能エネルギーを開発するしかないのだ。 そもそも再生可能エネルギーで電力需要を全部まかなう必要は全く無く、徐々に増やしていって20%も再エネ発電(水力はこれとは別途にすでに10%ある)で賄えるようにすればそれで必要十分だ。 こんなことは常識的に誰でも分かるはずなのになかなかそちらの方向に行かないのは、電力業界が再エネ発電の配電事業では手間ばかりかかって企業利益が出ず、さらに再エネ発電は原発ゼロイメージだと考えて消極的なせいだ。 安倍政権も再エネ重視は口先だけだ。

 再生可能エネルギー活用で問題になるのは、農地法などの法律規制で太陽光発電には農地を利用できないことと、洋上風力の際の漁業権だ。 私は、農協や漁協に発電所建設および運営を委託できるよう、農林水産省は規制改革を考えるべきだと思う。 農協や漁協が、個人の農地や漁場を借りて太陽光や風力発電所を建設・運営して利益をあげ、組合員に還元すれば良いのだ。 そうすれば利害の対立はないし、少々電気料金が高くなってもお金が国内を回るだけで国富が海外に流出するわけではなく、内需振興になる。 40年後に原発依存度が5%に減っても、再エネ発電が20%に増えれば合計25%であり、これは2010年の原発割合25%と同等だ。
これとは別に水力発電はすでに10%あるので、そのようにすれば水力も含めた広義の再エネ発電割合は35%にもなる。
 40年かけてソーラー再エネ発電割合を20%に増やすことはさほど困難ではなく、発電コストもそのうちに大幅に下がろう。 ちなみに、2013年度新設ソ-ラー設備容量は8ギガワットであり、その年間発電量は実質で原発1基分に相当する。これは日本の総発電量の0.5%だ。 今後、農地なども利用して1年あたり原発1基分のソーラー設備を増設すれば、40年後には原発40基を代替できる計算になる。 すなわち発電割合で言うと20%に達する。 しかし実際にはソーラー発電の設置は、原発20基分
(ソーラー設備160ギガワット容量。すなわち日本の年間総発電量の10%強)で十分だ。 残りは風力や地熱発電など他の再エネ発電で原子力の目減り分を代替できる。 そうすれば、40年後に原発が10基しかなくなっていても、再エネ発電と原発で総電力需要の25%をまかなって、日本はやって行けるというものだ
 また日本として原発ポテンシャルを保持するための商用原発の新規建設については、真に必要であれば国が直接に全責任を負って実施すべきだろう(もんじゅ同様うまくゆかないだろうが)
 ともあれ、国が責任をとらずに電力会社を原発新規建設の隠れ蓑に使うのは良くない。
 
それから原発再稼働に関してあと一言言わせてもらうと、電力会社に今後原発再稼働の認可が出ても、それは例えば自動車で言うと運転免許証を交付してもらっただけのことだ。 もしも自動車事故を起こせば運転者が罰を受け事故補償する。 国が事故の尻ぬぐいすることには私は反対だ。 それでも再稼働したいのならば、その覚悟で電力会社はやってもらいたい。

 
ところで、「再エネ発電(水力ダム発電を除く)割合を2030年には10%以上に増やす」とした2010年閣議決定は現在一体どうなっているのだろうか? その数値目標で再エネ発電化を積極的に進めれば、40年後に日本が脱原発依存することは可能と思える。 そのような日本のエネルギー戦略を国民に明示するためにも、安倍首相はもう、「40年後の原発依存度は極力小さくする」、くらいのことは言い切る時期に来ている。  
 
ところがそういう折も折、2014年9月に九州電力は再エネ発電の許容量に達したので、10月からは再エネ発電業者の新規接続を断ると突然に発表した。家庭用ソーラーなどはこれまで通り接続するそうだが、太陽光を施設しようとすでに投資していた業者はとまどい、怒っている。 九州電力によると、再エネ発電の許容量は全発電の8%までとしているらしいが、2014年現在ですでに4%に達した。 さらに2020年までの再エネ発電申請分がすでに8%に達したから、電線のキャパを増やしたりのインフラ整備をしない限り今後の接続は断りたいらしい。 しかし、たった8%ぽっちで接続拒否なんて、閣議決定した再エネ発電割合を10%以上にする計画にも届いておらず、電力企業は政府方針をないがしろにしている。 ドイツなどはすでに2割が太陽光発電になっているというのに、なぜ日本ではできないのだろう。
 1年前に、ソーラー発電で日本の総発電量の2割も賄うなんて、山手線の内側全部をソーラー用地にしなければならない。 しかしそんなことはとても無理で、馬鹿馬鹿しい空想に過ぎない、と幾人かの原発推進派評論家がテレビで発言していたが、たった2年間でソーラー設備のキャパはもうオーバーしましたと、電力会社自身がギブアップしている。 企業のメガソーラー発電設備への投資意欲は、欲と二人連れであるにしても心強いことだ。 外国製パネルであっても工事は日本の業者が行うので、国内設備投資で日本の景気も良くなることであろう。 さて、評論家には見込み違いを恥じて筆を折るか、テレビで1分間頭を下げ続けるか、どちらかを潔く選んでもらいたい。
 
実は、大型蓄電池などのインフラ整備しなくとも、ひまわり衛星などで局所天気予報してソーラー発電量を予測し発電調整することは容易なはずで、それくらいの技術とプライドさえも日本の電力会社は持っていないのかと情けなく思う。 「原発を早く再稼働して欲しい、インフラ整備費用を税金で出して欲しい」 とのアピールであろうが、北電、四電、東北電なども九電に追随を検討中だそうで、電力グループの護送船団スタイルは健在だ。 しかし、石炭発電主体の中国電力だけは接続拒否などせず、余った電力は積極果敢に九州、四国、関西などに送配電するとしており、頼もしい。 このような広域電力融通に積極的な電力企業に対しては、地域間送電線に限って補強インフラ費用を国で応援しても良いと思う
再生可能エネルギーの現状と問題点(資源エネルギー庁2014年6月公表http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/001_03_00.pdf

 
私が予測するに、政府としてはメガソーラー(1千キロワット以上)や高圧連携については何らかの接続制限をかけるが、低圧連携(50キロワット以下)については制限せず、そのかわり電力会社に対してインフラ整備で何らかの補助金支援をするということで、手を打つことになるだろう。 そうでもしないと政府のエネルギー戦略目標が達成できないからだ。
 電気買上げ価格については、2015年契約から大幅に引き下げられることが予想されるが、それは消費者にとって結構なことと考える。そもそも日本のソーラー設置費用は高すぎる。 安価な外国製パネルを使用して工事費がパネル代とほぼ同額とすると、10キロワットのソーラー設置は150万円程度のはずだが、日本の現状はその2-3倍高い。 もうそろそろソーラー業界もガラパゴス手法は止めた方がよい。

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米欧関係にほころび 修復に強いリーダー必要
2014/7/7
 米国の7月4日(独立記念日)の華やかな祝祭は、欧州の姿も映す。238年前のこの日、米国の建国の父たちは古い世界を拒み、啓蒙思想を生き返らせた。米国は2世紀以上にわたって欧州を導き、(2度)救済し、自由を保証してきた。新たな世界が古い世界を救い、手を取り合って協力した。歴史の中でも欧米の協調ほど成功を収めた例はないだろう。
 だが、それも今は昔のようだ。第2次世界大戦の終結と冷戦の到来に伴い、関係はほころびる恐れが生じた。米欧は今やもっぱら漂流する中で結束している。北大西洋条約機構(NATO)は表面上はなお世界で最も強力な軍事同盟だが、実際には、率いることに疲れた超大国に牛耳られた議論するだけの集団だ。アフガニスタンでの任務を遂行できなかったためロシアというオオカミがすぐそこに迫っているのにエネルギーを温存する姿勢を崩さない。
 欧州連合(EU)はさらに衰退している。数十年に1度の最悪の経済状況をどうにか切り抜け、欧州市民は5月に(欧州議会選で)EU統合路線にノーを突き付けた。フランスから英国まで、反EUの声が高まっている。欧州のリーダー不在の危機に対する答えが(新欧州委員長に選ばれた)ユンケル氏であるならば、問題の方を疑わなくてはならない。ユンケル氏に欧米関係を復活するかじ取り役が務まるとは思えない。
■米に対する独の憤り
 こうしたことを示す事態は起きていないが、断片的な状況は相次いでいる。米欧双方に非がある。
 ドイツ政府は4日、米駐独大使を呼び、ドイツの情報部員が米中央情報局(CIA)に機密を売ったスパイ疑惑について叱責した。その前の週には、デリケートなデータを米国家安全保障局(NSA)に渡しているのではないかとの懸念から、米通信大手ベライゾンとの契約を打ち切った。すべての根底には、NSAの活動範囲に対するドイツの強い憤りがある。米政府はこれを過小評価しているが。米国が何年にもわたってメルケル氏を盗聴していたこともこれに含まれる。
 欧州のほかの大国であるフランスと英国とは話す価値もない。キャメロン英首相は英国が無傷でEUにとどまることで頭がいっぱいだ。オランド仏大統領は仏現代史上で最も弱い大統領だ。だからといってオバマ米大統領を責めることはできないが、責任の一端はある。米国の発言が欧州で無類の重みを持つ時代もあった。だが先月、ポーランドのシコルスキ外相は同国と米国との同盟は「価値がない」と発言した。外相は発言を謝罪したが、欧州に共通する思いを口にしたにすぎない。
■TTIP合意に熱意の見えないオバマ氏
 米国のリーダーシップがなければ、米欧の協調は復活しない。オバマ氏が昨年、環大西洋貿易投資協定(TTIP)に着手したのは評価できる。米国がアジア重視に傾くなか、これは各国が貿易やビジネスをどう行うべきかを定めた世界的な基準になるだろう。米欧の戦略的結束を強調することにもなる。だが現状では、TTIPは米欧が合意できることがどれほど少ないかを示す場になる恐れがある。オバマ氏は米議会から貿易促進権限(TPA)を得たり、世論に受け入れさせたりして、何としても合意にこぎ着けることには関心がないようだ。
 欧州では、当初の盛り上がりに代わり、データのプライバシー保護、金融規制、食品の基準などどんな問題でも相違点を見つけようとしている。ドイツの姿勢の変化はNSAの不祥事のせいで、フランスでは、米国が横柄とみられていることが理由だ。米規制当局は先週、スーダンやキューバなどに対する米国の制裁回避を共謀したとして、仏金融大手BNPパリバに年間の利益に相当する90億ドル近い制裁金を科した。これを受け、米国は海外の銀行を積極的に標的にしているという認識が広がっている。
 欧州の軍事費削減、米国が傲慢だという認識、停滞する貿易交渉、ウクライナを巡る意見の不一致など、こうした摩擦の一つ一つは比較的控えめな問題だ。だが、これが積み重なると米欧関係の衰退につながる。友好関係をきちんと修復しなくてはならない。結束を維持するには、共通の価値観だけでなく、リーダーシップが必要だ。ほかの地域が米欧に急速に追いつきつつある歴史の不安定な分岐点では、それがどこから現れるのかを見極めるのは困難だ。
By Edward Luce(2014年7月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
※コメント/ レームダック化しつつあるオバマ大統領の言動が、ロシアやイスラム国、さらには欧州、中国や日本に影響している。 イスラム国に対しては、イラクだけでなくシリアにもアラブ有志国とともに武力の逐次投入を始めているが、国連安保の承認をとっているわけではない。 中国に対しては、直前に親中国のライスを中国に派遣してイスラム国攻撃を黙認して欲しいと頼みに行ったが、その代償は今後はオバマは中国の人権問題は黙認するということだろう。情けないことだ。  これで習近平政権は安心して、ウィグルやチベット問題、国内人権弾圧、香港の民主化選挙などに対して強気になって対応することになる。 ヨーロッパは、貧乏で厄介なウクライナをロシアと敵対してまで本当にNATOやEUに入れてやる価値があるのかどうかを疑っている。 そうこうしているうちに、日本も米国を疑いだしてTPPは放置する方向に向かっている。 やはり米国は、ビシッと金と武力をちらつかせながら口を出すのが似合っている。 そういう役回りだと覚悟してもらう方が世界平和のためには一番良い。

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[フィナンシャルタイムズ] 中国もようやく世界貿易や地球温暖化問題に積極関与の姿勢が見えてきたか 2014/7/8
 中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、米国をはじめ影響力の大きい国々はきっちり口をそろえてこんな批判を続けている。「中国には世界貿易の自由化を推進する姿勢をほとんど見せないばかりか、難しい交渉に直面すると他の発展途上国の後ろに隠れてしまう」
 中国は昨年、モノの貿易で世界一に躍り出た。その中国が先週、(WTO事務局の所在地である)ジュネーブでWTOが隔年で実施している貿易政策検討制度で審査を受けると、同じ批判がまた噴き出した。「中国の積極的なリーダーシップが望まれる」。米国はこのようにコメントした。
 しかし、このような常とう句もだんだん色あせてくるかもしれない。中国がしようとすることや考えていることを予想するのは、決して容易ではない。しかし、少なくとも世界貿易の分野では、中国が閉じこもっていた殻から抜け出して、より積極的に関与する姿勢を見せ始めた兆しが次々と見えるようになってきた。加えて、同じく顕著なのは、中国が他の主要発展途上国と距離を置くようになってきたことだ。
■米欧と自由化交渉
 今週の予定を通して、中国のこうした姿勢はさらにはっきりしてくるだろう。8日、中国は米国と欧州連合(EU)が開始する環境関連物品の自由化交渉に加わる。中国が開始時点から交渉に参加するのは特筆に値する。
 環境関連物品の自由化交渉は1月にダボス(スイス)で発表されたが、中国は発表間際に参加を決めた。参加決定にあたって中国は、WTOの交渉で通常は発展途上国に認められていた「特別で例外的な措置」は求めないことに同意しなければならなかった。
 交渉参加はすなわち、これまでのようにWTOの「発展途上国クラブ」から抜け出して、主要国との間で交渉するいわゆる米国主導の「多国間交渉」に参加することを意味する。こうした主要国グループこそ、中国やその他のBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)各国が声高に抗議の声を上げていた相手だ。
 IT関連製品について1996年の合意(注:情報技術協定)の拡大交渉に関して、こう着状態に終止符を打つべく、米国と中国政府の担当者は今週、北京で交渉に入るが、これは米中間で毎年開かれている「米中戦略経済対話」の議題の中で成果が期待されている項目の一つだ。
 昨年12月、バリ島(でのWTO公式閣僚会議)では貿易円滑化で合意。インドもこれを支持していたが、先週のジュネーブでは、インドは貿易円滑化を承認しないよう働きかけを強めた。一方、中国の姿勢は正反対。バリ島での合意内容についてインドが、同国やアフリカの国々が持っていた懸念に十分対処できていないと述べる一方、中国は合意を支持すると再表明した。
■強まる地政学的要素
 世界貿易の交渉で、新興経済国の利害関係は共通という考え方は作り上げられた概念でしかない。現在ではその意味合いはさらに強まる。中国が世界貿易の交渉に対してより現実的な姿勢をとるようになったことが大きい。もちろん、正当な理由がそこにはある。近年ますます、貿易は地政学的な要素が強まっており、中国はこのゲームをより有利に進めるべきだと気づき始めたのだ。
 米国はここ何年もの間、大西洋地域、太平洋地域での大規模な地域交渉、部門ごとの合意、さらにサービス分野の貿易を通じて、世界貿易の構造改革に注力してきた。加えて、米国政府は自らの目的を示し、さらに中国の経済成長が最大の焦点の一つとはっきり表明するなど、臆面もなく戦略的に動いている。「貿易における米国のリーダーシップは、米国の力の基盤をさらに強化することにつながる」。米通商代表部(USTR)のフロマン代表は先月、外交問題評議会でこのように発言した。
 米国だけが貿易を地政学的な観点でみているわけではない。EUが東欧諸国と貿易上の結びつきを強めているなか、ロシアのプーチン大統領は自身が提唱するユーラシア経済共同体への参加国を集めている。中国も周辺国と新たな貿易協定の締結を目指して、米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)に対抗する地域グループを作ろうとしている。
 最大の焦点は、中国が交渉の席でどれだけの力を示せるか。多くの人が中国の意図に疑念を抱いている。しかし、世界貿易の地図は変貌している。中国もそれと共に明らかに変わろうとしている。
 By Shawn Donnan in London(2014年7月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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「中国への海外からの投資は頭打ち。特に日本からは半減。韓国→中国は5割増し」
 中国の、ことし2014年1月から先月までの上半期の海外からの直接投資の額は、人件費の高騰などを背景に、去年の同じ時期に比べて2.2%の僅かな伸びにとどまりました。このうち日本からの投資は、日中関係の冷え込みも重なってほぼ半分に落ち込みました。 中国政府は、公約の7.5%GDP成長率を達成するために再び財政出動を余儀なくされそうです。  中国商務省は7月15日、先月、海外の企業が中国に工場を建設するなどの直接投資の額が、144億2000万ドルと、去年の同じ月に比べて0.2%の増加にとどまったと発表しました。この結果、ことし1月から先月までの上半期の直接投資の額は633億3000万ドルと、去年の同じ時期に比べて2.2%と僅かな伸びにとどまりました。
 中国国内の人件費が上昇し、現地で工場を建設して生産することが割に合わなくなってきていることが背景にあるものとみられます。このうち日本から中国への投資は、日中関係の冷え込みも重なり、去年の同じ時期に比べて48.8%のマイナスと、ほぼ半分に落ち込みました。一方、習朴蜜月首脳会談の効果か、韓国のみは中国投資が5割増しでした。
 これについて日系企業でつくる団体の関係者は「日本から中国への投資の減少傾向は当面続く。 また今後は、中国を生産拠点としてではなく、市場として活用するための投資が増えていくものとみられる」と話しています。(NHKニュースより

-以上-
2014年9月30日
九州ホーム